北海道はでっかいどう 喜茂別町編

夏の北海道の続き。前回綴りました北海道医療大学があるのは当別町、札幌から車で40分くらいのお隣町。次に向かいましたのが札幌から車で1時間半ちょっとくらいのお隣のお隣のもうちょっとお隣くらいな喜茂別町。1年越しくらいでやっと行くことができました。喜茂別町、何がすごいかって『町中をまるっとICTで繋いで先駆けて色んなものを情報共有』してるところだからです。大学の教授と地域包括ケアで色々な話をしている中でこのことを聞き、やっとのことでこんにちは喜茂別町。

 

 

蝦夷富士とも呼ばれる羊蹄山の麓。喜茂別町の特産アスパラガスです。人口2,199名、世帯数1,222。昨年に喜茂別町100周年を迎えられ、マスコットキャラクターは耳が特産品の緑と白のアスパラの『ウサパラくん』。

 

よく色んな人に『視察行って何の役に立つの?』とか『港区とは対極みたいなところ行って何か学ぶことあるの?』とか聞かれるんですが、そうですよね聞きたくもなりますよね。費用対効果、何の成果に繋がっているのかが見えにくいところありますもんね。ま、これはもう個人の問題だと思います。何かに繋げたいと考える人もいればそうでもない人、先進事例をそのままそっくりどうにかしたい人とそこから何か別のこと考えたい人。ま、出来はどうであれ結果はどうであれ、どちらかというとすごく考えたい方です。

 

そういうことは今回さておいて。

 

喜茂別には町立クリニックがあります。行政管轄から民間へというよく聞く話から逆行してるのは結構珍しいことだと思います。町立クリニックができた経緯を簡単にすると、人口過疎・医療過疎・元々あった病院が撤退⇨医療施設無くなっちゃう・それは困る⇨そうだ町立にしよう⇨行政できることに限りがあるから実績のあるところが指定管理で⇨建物にクリニックと病児・病後時保育園・図書室・役場機能・スポセンのような施設。宿泊所を併設(←今ココ)。

 

喜茂別町は『テレビの地デジ化に併せて町内ほぼ全域に光回線を引いてテレビ電話機能をつけて、遠隔で健康相談事業』というのを始めたのがH23年。高齢化とか気薄なコミュニティとか公共交通とか医療過疎とか、そういう課題を地デジ化対応に乗っけたと。ひとつの町だけだと費用もかかるので連携できる自治体と一緒になって初期費用を抑えたりだとか、色々ご苦労されたと聞きました。この時から将来を見据えたICTというか情報技術というか、活用方法を試行錯誤しながら取り入れていったということです。正直にすごいなあと思います。

 

喜茂別町長さん、喜茂別町議会議長さん、役場の担当課の方、保健師さん、社会福祉士さん、大学の教授も交えて色んなお話しました。保健医療を中心にICTと情報共有体制が構築できつつあり、これからはそこを行政情報とどういう風に連携していけるのかというところを模索していくんだと。保健師さん曰く、人によって聞いてる話が違ったり、何がどう正確なのかわからないことから正しい情報共有って必要だよねというところが現実味あるお話だったわけで。『町民げんきカルテ』というシステムを作って、必要な人に必要な支援を必要な時に必要に応じてサポートしましょうと。

 

始めのシステムはシンプルでいい、その後の修正が大切だ』、喜茂別町の大胆に言い切れる姿勢が素晴らしいと率直に思います。ほら、今の時代って『とりあえずやりました』的なことだけ評価されがちなところあるじゃないですか。それはそれでいい時もあるわけですけど、最初からアレコレ盛りだくさん持っちゃいますよね。そんで目的を失念して失敗するパターンもあるわけで、でも失敗とはなかなか認めない。…自分に刺さる言葉のようで苦しくもあるけども。

 

『健康づくりは生まれた時から』ということから、人口流出はあれど流入の少ない地域において、個人のライフステージに合わせた環境の変化を行政は理解しているという感じです。で、それをばっちりのタイミングで色々と支援をしていきたいと、そういう風な行政の役目というものを感じ取れます。例えば地域包括ケアのようなものであっても、港区は高齢者を中心とした医療介護と今の時点でなってますけど、喜茂別はもっと先のステージと思われる子供の教育とかそっちまで展開を考えていると。要は『地域共生』をどう考えるかによって色々方向は変わってくるわけですよね。喜茂別町だからできることがあるのならば、港区だからできることもあるわけですし、それってなんだろうとこれからも考えていきたい感じです。色んな物事を正しく理解しているかどうかはまだ自信ないわけですけど。

 

医療介護連携はちょっとおいといて、港区で独居高齢者とか高齢者じゃなくとも色んな意味で孤立している方々をICT活用でどうにかできないものかとちょっと思ってみました。若くとも独身でなんらかの何かが必要な方とかいらっしゃるでしょう。ただ、行政が介入することが迷惑だ厄介だと感じる人も少なからずいるわけだし、自助/互助がすごく上手にできているわけでもない都心だし。うーん難しい。