自民党政経塾で『クールジャパン戦略』について島尻参議院議員による講義がありました。日本のアピール、特に海外への発信が非常に弱いという声が多々あることで、ポップカルチャー、マンガ、アニメ等をもっと積極的に海外展開しなければ、と総務省が本腰を入れたというような講演内容でした。国家戦略としてクールジャパン・ビジットジャパンの推進をしていくこと。まずはASEAN内6ヶ国にTVをはじめとした様々なコンテンツを売り込んでいくという計画だそうです。
日本の文化ってなんだろう。海外にいた頃から考えています。成人式くらいしか着ないかもしれない着物?我々日本人全員出来るとは限らない華道や茶道や武道?最近のアイドル文化やアニメ、マンガ?よく耳にするポップカルチャーやサブカルチャーってつまりはなんでしょう、皆さん説明できますか?
日本の文化を売り出そう、と力が入れば入るほど的を外していくといった不思議な現象が起きているのが日本です。何か違うなという違和感。『日本らしいもの、と日本人か考えるもの』『歴史のある古典伝統的なもの』といったものを全面的に押し出す必要があるのかどうかをよく考えます。欧米文化にはないエキゾチックなもの、それが歴史のある日本に求められているものと決めつける必要がないと思っているからです。スシ、テンプラ、キモノ、ゲイシャ。全てはそこから始まっているのではないでしょうか。もちろん、それがあったからこそ今の日本の認知度がありますけれとも。
日本文化のクールなところは、ゼロからイチを生み出すことではなく、どこかで生まれたイチを無意識に切磋琢磨してichiにでも10にでも100にでもするところです。量産ということではなく、様々な要素を組み入れて、多少のオリジナリティーを残して生活様式に適応した不思議なシステムを作り上げていくこと。そしてそれがいつの間にかにカッコ悪く思われて、もっとカッコ良いものに変化していくこと。
古代ローマからシルクロードを通り、中国から海を渡って伝わってきた文化は日本国内で独自に発展してきました。それが昔の話だけではなく、最近の話でもあります。携帯電話から派生したガラパゴス化という言葉が全てを物語っていますよね。
日本人にとっては当たり前過ぎて気にも止めないこと、しかし外国人から言われて初めてそれがすごいらしいという事に気付く、それが日本です。ある意味鈍感で、ある意味最先端。しかし残念なことに私たちには指摘されるまでそのすごさがわからない。日本人はアピール下手というのももちろんあります。情緒豊かな謙虚な国民性も理解されない文化でしょうね。
日本の凄いところ、何でも現在進行形で存在することです。そして今も進化していくこと。流行り廃りのスピードも他国とは比になりません。歴史のある文化、まったく新しい文化が当たり前のように混ざり合い、それがまた新しいもの生み出していく。生み出すものはひとつである必要はなく、また推薦するものも数を限る必要はありません。そして日本人には当たり前過ぎてそれが何だかまったくわからないのです。
『あなたの国に無いすごいもの、何でもあります』
私が日本にキャッチコピーを付けるとしたらこんなものでしょうか。街中に溢れる自販機、時間通りにくる公共交通機関、kioskでも使えるICカード、コンビニで小学生でも目にする成人向けの本、お酒片手に電車に乗るへべれけのサラリーマン、たくさんの祝日、世界中の料理が美味しく手軽に気軽に食べられる。いいところも悪いところも全て引っくるめて日本です。
自分の国の歴史、そこから派生する文化、よく知りよく触れ合い、否定をせず共存し、新しいものづくり。まずは私たちが色々な異文化に接したり自国のことをより深く学んだりして、日本独特のところ、面白いところを探すことからクールジャパン戦略が始まるのではないかと思います。
余談ではありますが、大学の頃に日本語を勉強していた友人の教科書を見せてもらったところ、『春になり桜がが咲くと、日本人はお花見という習慣で家族やグルーブで桜の下に集まって飲んだり食べたり宴会をします。会社では新入社員が早くから場所取りをすることがよくあります』というような説明と共に、芋洗のごとくぎゅうぎゅうに敷き詰めたブルーシートでどんちゃん騒ぎしてへべれけになる集団の写真があり、説明するのに困った記憶が今蘇ってきました。