さてと、今回は無効票と有効票について少し説明しますね。選挙の投票において絶対条件なのが『氏名だけ』でございます。つまり、『苗字と下の名前以外のひと文字でも書くと審議』っていう感じで物言いがつきます。それが例え、棒線一本であれ。
えーと、前回に自動の読み取り機でバババーっと読めたやつ、読めなかったやつ、まっちろ白票に100票ずつ分けられるってお話しました。 そこからは人が目でちゃんと見ていくんです。100票の束、点検係という20人以上いるようなセクションに運ばれていくわけ。
有効票の行方
輪ゴムで束ねた100票の束がどんどん運ばれてくるわけなんですけど、それを『点検係』に配置された職員さんが中身をチェックします。ちゃんとその候補者の名前が書かれてるか、そういうチェック。ちゃんと1枚1枚の確認作業。
有効票はまぁ悩むことが多分そんなにないので、間違いようがそんなにないと思うんですけどね。でもその中でもちろん『むむっ!?』というやつが紛れ込んでることもあるとは思います。そこは別セクション送りの刑。
そんで次が銀行とかでお札数えるようなアレでバラバラバラーって『計数係』が数えます。ちゃんと100票ですねって。で、ここが終わると100票でまとめてたのを今度は500の束にするのが『審査係』。なんやら確認のハンコでもついたり、ちゃんと100の束が5つできましたよって。
ちなみに有効票の指標というか、有効とした判定の事例などちゃんとあります。こういうのを参考に、職員さんたちがブレない判断をしてくれます。ちなみに、我々立会い人が会場内をウロウロしてますけど、選挙管理委員会の職員さんたちも会場内をウロウロしております。
最終のがっちゃんこするまでの有効票の流れはこんな感じ。多分間違ってない。
白票の行方
自動の読み取り機で振り分けられた何にも書かれてない白票、これもやっぱり輪ゴムで100票ずつの束にされるわけですが、お次に『リジェクト分類係』というところに運ばれていきます。そこでバババーっと中身をちゃんと確認して、全部白ですね無記入ですねって確認してから次に送られるのが『調査係』。
この調査係でも白票担当の職員がちゃんと1枚1枚中身を見て、100の束を作って審査係に送って、そこが500の束を作ると。シンプル。
というか、白票も無効票です。
無効票の行方
まず、無効票の定義をざっくりと。11項目あります。ひとつでも当てはまれば、物言いつくことなく無効票送り。立会人説明会でもらった紙の中で2と3の違いがわからんことに改めて気付く。というか、2と3と5は『立候補してない関係ないやつ、ダメ』とひとくくりにできないものか。
1. 投票用紙が違う
2. 関係ない人の名前
3. 関係ない人の名前(違いがわからん)
4. 1枚に複数の名前書いちゃった
5. 関係ない人の名前(違いがわからん)
6. 名前プラス余計な何か
7. 自分で文字書いてない
8. 達筆過ぎて読めねえ
9. 白紙
10. 関係ない文章とか
11. どうでもいい記号とか
で、無効票なんですが、機械→リジェクト分類係→調査係と、白票と同じような手順で中身が確認されていきます。はいこれ無効、これはこうだからやっぱり有効でしょ、そんなことをやいやい相談しながら、調査係に配置された職員さんたちが頑張って手作業してくれます。↑に挙げた理由で明らかに無効判定が付くならわかりやすいんでしょうけど、微妙なのありますよね。
『可能な限り、投票してくれた人の気持ちを汲んであげたい』という前提のもと、職員さんたちが頑張ってみますけど、今までの事例というのも参考にしながら判断されていくようです。以前にこういうことで揉めたけどその時の判断はこうだったのでブレないようにとか、裁判の判決とか、そういうのを参考にしながら。なので、毎回毎回の開票で『今回こんなもんでいいんじゃないすか?』、『もうこれこっちでいいっすよね?』的なものが含まれる余地は無いと、無いと言い切れると。そんな印象です。
↑の無効票判定の6と10あたりをわかりやすくいきますね。自分を使って例えてみますと『小倉りえこちゃん』『小倉りえこ*』『小倉りえこがんばれ』『麻布十番商店街の人』など、全部無効票行き。しかもソッコー無効で再考の余地なし。ここは法律かなんかで決められているので、可能な限り投票してくれた人の気持ちは汲み取ってもらえないシステム。
小倉りえこ、自民党さんなわけですけれども、ご丁寧に政党まで書いてくれちゃう場合もありまして、それが例えば『xx党(自民さんじゃないところ)小倉りえこ』と名前はあってても政党が違う場合の無効。あっ!ひょっとしてこれが無効の例の3か!
疑問票の行方
で、どーしても微妙すぎてどうしようとか、これは判断に悩む的なやつがでてくるもんらしいです。それが疑問票。調査係の10人以上いるグループがやいやい相談してもわからないやつ。それがどこに行ってどうなるかと言いますと、『調査係(判定担当)』という所に送られて、これまた結構分厚い判定マニュアル的なやつで調べながら有効か無効かを判定すると。大事なポジション。
候補者の名前にマルが付いている場合はどうだ、バツが付いている場合はどうだ、候補者の名前をシカクで囲っている場合はどうだ、枠内に名前書いてるけどバツが付いてて欄外に名前が書いてある場合はどうだ、判定のところにくる疑問票はこんなわかりやすいものではないですし、もっと複雑なもんらしいですけど。
で、すごく最後の方の最終の最終くらいで、この判定係が『これはこうこうこういう理由で有効(または無効)としたいと思いますが、立会人のみなさんどうでしょうか?』と、立会人に話を振るという流れになります。
経験を積んでるとか、判断に迷いがないとか、明確な基準というのはわたくし部外者なのでよくわからんちんですけれども、聞く所によると『経験値も高く、判定能力が高く、仕事できる職員さんが配置される』ようですよ。
あっ、職員のみなさん、すべて終了したところから帰っていいような感じですが、やっぱり最後の最後まで残るのは調査係。投開票って日曜日じゃないですか、次の日は月曜日じゃないですか、開票すべて終了したの夜中2時とかじゃないですか、片付けだのなんだのでもっと遅い職員さんたちいるじゃないですか、職員さんたち数時間後にはパリっとした格好で役所で通常営業じゃないですか。当日開票と翌日開票ってどっちがいいんだろうかと、ちょっと考えちゃいましたよ。
無効票の中身
今回の港区、無効票だった割合を計算してみました。東京1区の場合だと小選挙区(候補者の名前書くやつ)が約2.3%、比例区(政党書くやつ)が約1%。ちなみに東京2区の場合だと小選挙区が約3%、比例区が約1%。要するに、必ず無効票ってでるわけですよね、なんらかのカタチで。
今回の初めての立会人、『無効票ってどういうのが含まれてるんだろう?』っていう興味が個人的に一番高かったわけです。立会人の最終最後の大切なお仕事は『500にまとめた票の束にハンコを押すお仕事』と『票をしまった5年間保管行きの箱を封印してハンコを押すお仕事』でして、そこで無効票のハンコを押す際に見せてちょーだいとパラパラパラ〜ってみました中身。
えーと、東京1区の小選挙区の方で覚えている限り、多かった順は
白票(数えるの忘れたけど半分から2/3くらいだったような)
〜〜〜〜〜 ボールペン試し書きのようなアレ
『(候補者の名前)がんばれ』的な余計なコメント・文字
政党党首の名前
タレントの名前
東京2区の候補の名前
別の県の候補の名前
『投票したい人なし』というコメント
現職港区議会議員の名前
そんな感じの初めての立会人。そういえば先日の葛飾区の区議会選挙で当選と落選の境目が1票だったと聞きました。こういう時必ず『意図的に無効票を〜』と感じる方も少なくないと思いますが、正直な話、とってももったいない票というのはたくさんあって、そういうので差がついちゃうというのもあるんだろうななんて思ってみたり。
『投票へ行こう!』と呼びかけるのは大切なことだと思いますけれど、立会人を経験してみて『無効になるもったいない票が結構あるよ!あなた大丈夫!?』と投票してくれる人にも教えてあげたい。
あっ最後に『開票作業がんばってください』という区の職員さんへの応援メッセージ、ほんわかするかもしれないけど選挙的には無効票ですからね。以上、立会人の長いお話おしまい。