さて、六本木中学校に英語科国際という授業を見学に行ったという話の続き。英語科国際というのは、平成18年度から港区が独自に行っている英語コミュニケーション能力を高める目的の授業。週1でやってると。普通の英語の授業を合わせると英語は週5時間ということです。そこにレベル分けを初めて導入したのが六本木中学校。それがスタンダード・コースとネイティブ・コース。
英語科国際、ネイティブの先生(NT)が基本主導権を握りながら、教員免許持った英語の先生がサポートに回ると、2人セットのクラス運営。ほら、教員免許の関係で。ネックだぜ教員免許。とかいってみんな教員免許無かったらそれはそれでアレなんですけど。
スタンダード・コース(通常クラス)
まずは2年生スタンダード・コースから見学。20人くらいいたかしら。
What’s your favorite school lunch? (給食で何が1番好き?)とか、先生が生徒一人一人に質問投げかけてました。もちろん『えーっとえーっと』と悩む子考える子いますし、そういう時は先生がヒントを出したりしますし、クラスメイトが手助けして教えてあげたりもしますし、カタコトの単語だけでも非常に良いコミュニケーションが取れる授業という印象。ふむふむ。
会話のキャッチボール、つまりコミュニケーションが取れたという『できた』っていう事実、これって自信に繋がるんですよね。わかる、わかるわあ。
で、みんな一巡した後に『さーて、今日から新しいトピックで勉強するよー☆』的な素敵なノリで、先生が黒板に書いた文字。それはExtreme Sports。
エクストリームスポーツ
私は思いました。え、こんなこと中学校の授業で取り上げて良いトピックスなの?と。それは何故かと言いますと、エクストリームと聞いた瞬間に頭の中には、
エクストリームアイロニング(人里離れた場所でアイロン台を広げて服にアイロンを掛けるエクストリームスポーツである。このスポーツのプレイヤーはアイロニスト (ironist) と呼ばれる。〜ウィキペディアより)
エクストリーム出社(早朝から観光、海水浴、登山などのアクティビティをこなしたのち、定刻までに出社をするエクストリームスポーツ。また、リフレッシュを主目的としてレジャーを楽しむ、早朝から出社までのプロセス。この場合、スポーツとしての競技性はともなわない。エクストリーム出社のプレイヤーは、一般的な通勤者と区別して、出社ニストと呼ばれる。〜ウィキペディアより)
この2つがチラついたからです。相変わらず自分の頭の中の偏りっぷりがひどい。それはさておいて。
ベースジャンプとか、ウイングスーツジャンプとか、パルクールとか、そういうどちらかと言うと最近のエクストリームスポーツのお話で、動画を見たりしながらの楽しそうな授業。みんな興味津々。高いところから飛ぶ映像見て、きゃーとかひゃーとか。
こ、これが今時の教育教材か…。そりゃICTだネット通信環境だタブレットだ、必要になるわけですよ。
スタンダード・コース、時間まるまる見れたわけじゃないですが、基本先生は英語、生徒は英語で返したり、日本語でしゃべったり、でもすごいなあと思ったのがみんなある程度は理解できているということ。ヒアリング的なスキルが高いという印象です。個人差はあるにしても、小学校から英語に親しむ的な教育の成果が出ているのかしら、という感じは確かにしました。
ネイティブ・コース(上級クラス)
1コマの授業の中でスタンダードコースとネイティブコースを両方見に行くわけなので、途中アウト途中イン。ちょっと失礼して別室の2年生ネイティブコースへ。
見学した2年生のネイティブ・コースで学ぶ子は5人。そしたらこちらもエクストリームスポーツで授業してました。見てる動画はちがう上、ドキュメンタリーぽいインタビューとかも含まれてるやつ。レベルは違えど、学ぶトピックはおんなじで。
映像を観ながらというか聴きながら、英語で書かれたプリントをみんな一生懸命やってるの。もちろんその映像に関することね。そーね、例えば『世界記録樹立したのはいつ?』とか『アイガーってどこの国にある?』とか、『この人、なんで飛び続けるの?』とか。そして先生のトークも早い早い。早いというか普通。
でも動画というか映像というか、ネイティブじゃない子達、ヒアリングがまだちょっとという子達に向けて先生が『さて、もう一度同じの見るけど、再生スピード今と同じままにする?それとも少しゆっくりにする?どっちがいい?』と聞いてましてね。ちゃんとそういうのも配慮してくれるんですね。
六本木中学校にはいわゆる外国人と呼ばれる子達が約1割、いわゆるハーフとかダブルとか呼ばれる子達が約1割、合わせて30人くらいになるんでしょうか。そしてネイティブ・コースにはおおまかに3パターンの子が在籍しています。1. 英語が母国語、2. 英語が母国語ではないけれどそこそこ慣れてる、3. 英語が母国語ではないけれどレベルが少し上で頑張ってみたい子。生徒と保護者の希望と、先生と学校と面談してクラス決めるそうです。
クラス分けのよいところがですね、入れ替えがある程度フレキシブルということです。頑張ってみてやっぱり難しいようならスタンダードに、もう一度頑張ってみたいならネイティブにと、学校側の判断もあるけれど可能な限りドロップアウトからの英語嫌いにならないような策を取りたいと、取っていると。先生方もものすごく慎重に、気を使っておられると。そうですよね先生。
次に1年生のネイティブ・コースを見学したわけなんですけど、お休みしてる子もいたようですがその日は6人。男子と女子、離れすぎですよ。わからないでもないけど。いや、別にいいんですけど。
1年生のネイティブ・コース達の子、2年生と比べてわいわいがやがやしてて楽しそうな感じでしたね。授業の内容は風力発電とかクリーンエネルギーについて。英語の授業なんだけど英語じゃない。なんだろ、英語圏に留学してる雰囲気(勉強面においての話)が十分得られるような、そんな感じがします。ものすごくいい。私、好き。
ネイティブ・コースの特徴は、『英語を英語で理解する力を得ようとするスキル』が付くかもしれない機会の場を提供していると思います。そこにいれば自然とどうにかなるというわけではなく、興味を持ってもう少しできるようになりないなとか、そういうキッカケ作りにとても良いコースかと。
確かに、難しいコースではあると思います。ネイティブ・非ネイティブが混ざる中でどの子のレベルに合わせた方がいいのか、先生方も悩むというし。
ネイティブ・コースのもうひとつの利点
さっきも少し触れましたけど、海外にルーツ的なものをもつ生徒が六本木中学校は約2割。日本語の語学レベルはちょっと置いといて、そういう子達にとってもネイティブ・コースは必要なんです。特に英語圏に所縁がある子。
みんな楽しそうなんですよ。リラックスしているんですよ。ひょっとしたら環境とか文化とか言語の違いからくる、色んなストレス発散の場になってるぽいんですよね。そういう子達にとって少しでもリラックスできる場があるというの、とてもいいことだと思うんです。
先生方もそう言うくらいですもの、本当にリラックスできる場なんでしょうね。わたくし、日本人で英語力高めの子のためのクラスがあったらいいな、とだけ思ってたフシがあるわけですけれども、今回見学することで考えたこともない新たな波及効果を初めて目の当たりにしました。もっと色んなことを、可能性を考えないとダメですね。反省。
まるっと見学まとめ
英語科国際 = 素敵
スタンダード・コース = 素敵
ネイティブ・コース = 素敵
特にネイティブ・コースは自分が高校生でアメリカに留学したころ、高校に入る前にホームステイしながら少し通った外国人のためのESL(英語が第2外国語用の人)クラスみたいで、『英語で考える』ことが大変だけど辛いけど少し楽しくなってきた、そんな感じのことを思い出すような雰囲気でした。見てただけだけど。
ネイティブの子はイキイキしてるし、ネイティブじゃない子はドキドキしてるし、でも不安で不安で仕方がないという子はいないような気がします。週1回1時間の英語圏留学、そんな感じ。いや、よかったな見学させてもらって。がんばれ六中生。君達が得るのは、週1回だけど私立並みかそれ以上の環境と、あと確実にガッツです。