私の恩師と言っても過言ではない西岡久寿樹先生は様々な領域でのスペシャリストです。東京医科大学医療総合研究所所長、難病治療研究振興財団専務理事、リウマチ・痛風・線維筋痛症研究のトップランナー、そして現在は子宮頸がんワクチン投与による深刻な副作用被害の研究に積極的に取り組んでいらっしゃいます。常に患者さんの目線に立ち、何とかしなければという強いに奮起され、研究チームを立ち上げ昨年秋にはこれらの一連の症状を「HPVワクチン関連神経免疫異常症候群(HANS)」と名付け、診断基準案も作成されました。
新しい病態の原因究明、難病の治療指針、これらはすべて共通するスタートがあります。症状をまとめ上げて周知する、ということです。そこから見えてくる小さなヒントを見逃さず、たくさんの可能性を考え、細い細い糸を繋いでいくように臨床データをまとめ上げていく作業が必要となります。日々の臨床業務をこなしながらの研究、非常に頭が下がる思いです。ひとつひとつの小さな新しい発見が病気の原因究明、治療薬の開発に繋がっていくのです。
近隣クリニックの先生方にも地域医療の現場についてお話を伺う機会もたくさん作ってきました。港区は日本の中でもトップに匹敵するほど、医療助成等に恵まれた制度があります。出産費用助成、不妊治療助成、健康診断や予防接種、世界の中でも優位な待遇です。港区には三次救急施設を含めた中核病院が7つもあり、近隣の住民の健康を見守るクリニックもたくさんあります。今後は少子高齢化の時代に添うような健康づくりや介護、子どもから高齢者まですべての年齢層のための医療に関する様々なネットワークの構築を行い、区民の健康福祉を更に向上させるということが必要になってくるかと思います。健康に困った際には適切な処置を、そして元気なシニアを増やし病気にならないような健康づくりの推進に励んでいくこと。当たり前のことを当たり前と思わず、時代に沿った制度の取り組みを目指す強い決意です。