「◯◯ケンシン」という言葉の響き、「健康状態を調べる健康診査の略で健診」、「特定の病気を見つけて治療に繋げる検診」のどちらかが頭にパッと浮かぶと思います。検針も謙信も献身もあるだろうけど、改めて日本語ややこしい。
みなと保健所で行ってる色んなサービス
港区の保健所では、港区ベイビーやキッズのために様々な健診をおこなってます。子育て相談も含め、ご予約等はウェブからも母子手帳アプリからも受け付けており、保護者の方にもまぁ便利になっておりましてね。港区の色んな母子健康サービスなことはこちらから一覧で。
医療界隈で親と子供に関することは、「母子健康」的なワードでまるっとまとめられることが多い日本語ですが、最近は性別的なことにやたら厳しい世の中になってしまっていることから、「父は?」とモヤモヤする方もいらっしゃるのではとも思います。が、文言よりは中身の親と子供に対してのサービス内容がしっかりありますので、そっちに全力で今のところは勘弁していただけると幸いです。
英語だって船とか大きいものって何故か「She」って女性三人称だし、男性名詞・女性名詞ある言語だってあるし、ドイツ語にいたっては中性もあったっけ?なんか色々ですよ語学は。ま、そんなことはさておいて。
3歳児健診を見学に。
三田にあるみなと保健所。みなさんご存知と思いますが、国際医療福祉大学三田病院と済生会中央病院に挟まれた、今港区役所の中においてもコロナ戦線最前線。昔からちょこちょこと寄ってます。いや、決して仕事の邪魔しに行ってるわけじゃない。
小倉家、子供がおりませんで。猫なら2匹いるんですけどね(雑種)。トゥーキャッツ、ノーキッズ。だからどういうものか見てみたいなとずーっと思ってたんですけども、なんか延ばし延ばしになってて。でも行ってみたいなと思いまして先日ちょっと見学に行かせていただきました。
結論としては、「うっわスゲ……子供だけじゃなくて親にも手厚いんだな……」です。あっ「今更かよ!」みたいな感じで石投げないで。子供の健康チェックだけじゃないということを改めて知りましたということ。
1日の3歳児検診に必要な専門家、なんと50人オーバー
保健師などの看護職25
栄養士5
視能訓練士1
医師4
臨床心理士4
歯科医師3
歯科科衛生士5
保育士8
子ども家庭支援センターから虐待ケースワーカー1
現在の健診は完全予約制であるものの、1日予約数が80人くらいでもスタッフ人数はこれくらい必要で、今月3度の健診日にこれだけ集まっていただいてどりゃーってやっていくってほんとすごい。
「かかりつけの小児科でやってくれればいいのに」
「もっと日にちの選択肢増やしてくれればいいのに」
「平日以外にもやってもらいたい」
色んなご意見がこれまでも当然ありまして、まぁ自民党さんからも議会質問でそういうお願いをしておりますよね。代表質問でも個人の一般質問でも。
なお、自分も3歳児健診については質問したことがありまして、1年くらい前だったかな。「(これまで自民党の議員からもちょいちょい出てるけど)夜間や土日、ちょっとフレキシブルにした上で、今は予約を1ヶ月先までしか取れないけど2ヶ月くらい先まで取れるようにしたら喜ぶ方多いんじゃないかな?」的な。
なんかね、聞いたところによると(自分あまりよく知らないことたくさん)、他の自治体では「ハイ、アナタのところは◯月◯日 ◯時に来てね」と、日時指定の3歳児健診もあると。ほぇ〜、知らなんだ。港区はお便りが行ってから保護者が予約を取るタイプであるので、他所の自治体と比較するとこの時点で十分に保護者の都合が十分に考えられているということなんでしょう。
日時指定をしていない理由があるとすれば、「港区の保護者、忙しい方が多い」のが特徴なのかな。あ、でも日時指定をする方が健診受診率高いとかそういうのもあったりするのかな。「保護者の都合」vs「受診率」の判断をどう自治体がするのかということにも関係するのかも。
港区は「保護者を大切にしてる」という印象受けました
少し表現が違うのかもしれないけれども、「親が抱えているかもしれない隠れた問題を可能なだけ早期に発見しよう」と、保護者へのアプローチを大切にしているという意味で。
「いや、3歳児健診ってそういうものだろ?」って言われちゃうのかもしれないけど、ほらこっちはド素人だ。3歳児連れてくる保護者みてると母親がやっぱり多いけれども、世の中のお父さん達だって行ったことなかったらド素人じゃないですか。あ、お父さんが健診連れてきてるご家庭ももちろんありましたけれども。
「子供を通じた親の問題発見」ということもあるわけでしょう。それこそド素人が考えつくことでいえば子供の体のアザとか傷とかそういうの。視覚的なわかりやすい虐待可能性とか、でももし本当にそういうのがビッシリな場合って健診にはこないんだろうなぁってこともあるわけだろうし。そこは別の手段で拾い上げるとかしていくのが課題だろうし。
臨床心理士さんとか、虐待ケースワーカーとか、連れてくる保護者のちょっとした言動とか調査票とか、そういうところから限られた時間内に見つけだそうと努力があって、カウンセリングに繋げたり必要な支援の可能性を見出したりするんだろうなぁという姿勢がよく見えた次第です。それができるのも、50人以上の専門家が入って多角的な視点でお互いモノ見てるのが大きいんだなと、学んだ次第。
子供の身体的な健康診査と、保護者の心の健康診査なのかな
「忙しいからパパっと早く済ませたい」方が多いのが港区の特徴ぽい話も聞くんですが、是非保護者のみなさんには親子健診という気持ちで臨んでいただくのがいいのかなと思いました。ガチで。
連れて行かなきゃいけない保護者の都合というものはとても大きいもの。共働き家庭ならなおのこと。お仕事の都合をつけなきゃいけないし、保育園や幼稚園とかそういう都合もあるわけですし、そりゃお忙しいですよ。子供がいない自分へ「お前に何がわかる」とか「勝手なこと言うな」的なこと、時々言われてしまいますけどもね。あっ石投げないで。
健診日が平日に限定されて、そのうちも少し予約の取り方とか変わることもあるのかもしれないですけれども、これまで自分も「保護者の利便性をも少しね?」なんて思ってたこともありましたが、一度細かなところも含めて丁寧に教えていただいて「あ、子供の健診って子供だけの話じゃねーんだわ」とガツンと思い知らされた3歳児健診見学でありました。過去の発言を反省いたします。猛省。
「どこかの病院に委託すればいい」。こんなご意見もあるでしょう。でもそれじゃ多分ダメ。親の問題と家庭の問題は、小児科の先生だけですべてカバーできない。「親の都合が」を連発してる場合、その親が問題抱えてる場合は誰が察して拾い上げてくれるのかなってなるじゃないですか。多分そういうケースだって少なからずあるはず。
必要な人へは必要な支援に繋げるという大義、行政だからサービスにすぐ繋げられるという役割。これが行政の大切な仕事なんだなというのを遅ばせながら理解したような気になっている小倉りえこ46歳子無し。あっ石投げないで。
なので、子供の健診は、お父さんお母さんの養育者健診でもある側面を持つということを忘れずにお願いしたいと思います。「ウチ、虐待とか関係なく愛情たっぷりで何も問題ありませんので!失礼な!」とほとんどの方が思ってると思いますけど、そうじゃないパターンを発見できるのであればそれに越したことがない。あっ石投げないで。
そんな港区、今色んなことを考えてくれています。
来年度予算に関して、各部署から「こういうの予算つけてください!」と区長へお願いしているという仮状況が区民のみなさんへ公開されています。もちろん、こういうものの中には我々議員が「ああしてください」「こうしてください」というご意見・ご提案も加味されているのもあって、新しい事業の開始とか既存の事業の新たな展開には予算が絡むもんですから、我々議員も気になるところです。
ほら、予算編成権があるのは区長なんで。議員にはないんで。
その中に、健診の受診率高くするため、「こういう風に頑張りたいんで予算つけてください区長!」という保健所の叫びが資料となってます(注:あくまでも身内での要求状況なんでまだ決定でもなんでもありません。うんというかどうかは区長の編成と、賛成反対する議会判断です)。
そう、港区の3歳児健診の受診率は低いのです。これが何故低いのか、そういうところは正直わからんのではないでしょうか。例えば外国人居住者(複数国籍含む)だってある程度おりますし、日本人でも海外から家族で戻ってきて「向こうで色々やってたし別にいいわ」だってあるのかもしれないし。前にもちょっと綴りましたけども、日時指定じゃなくて自分で予約取るシステムだから忘れてるとか、それこそ保護者の都合とか、雨だから行かないとか、色々理由はあると思うんですよ。
議員からの要望も少なからずありますしね、平日だけじゃ厳しいよと。そんな港区が今考えてるのが年間6回の平日以外の健診。平日絶対ムリ、何やっても都合つかないというご家庭があるとしたら、そこは非常に助かる感じの展開を考えているという。
もちろん、こういうことを実現するには何よりも「専門職・スタッフの確保」がなければ実施不可であります。ほぼ人件費であります。だって、50人以上の専門の方々が3歳児と保護者を診てくれるわけですもの。その辺の方集めればいいというわけではないのは、これまで説明した通り。
ご協力いただける専門職の方がたくさんいらっしゃるといいなあ、平日だけだとしてもどうにか受診してくれるご家庭がもっと増えたらいいなあ、子供の健診だけじゃないってことも認識広がればいいなあ、って心から思います。あっ石投げないで。