義務教育の公教育のICT化がどうのこうの、そしてリモートワーク(テレワークって単語好きじゃない)に伴うICT化がどうのこうの、さてそんな中、議会のICT化ってどうなんじゃろというお話です。港区議会は未だ非常にアナログです。別に悪いこっちゃないけれどもさ。
ICT化への壁は、正直言ってヒューマンマター
あれはいつのことでしょうか、3年前だったでしょうか。港区議会の運営委員会の面々で逗子市議会まで遠足に行ったことがありました。議会のICT化とやら、要はタブレットでシュッシュピュッピュしているところを見に行こうぜと、導入検討のために先行自治体の議会を見に行くことになったのは。(アイ・スィー・ティー…ICT?な話(2017.5.18))
あれから3年。港区議会は特段タブレットを使っているわけではなく、相変わらず本会議場や委員会室にはデジモノ持ち込み禁止な日々が続いております。年に1度か2度か、ひょっとしたらもう1、2回くらいは多いのかもしれないけれども、ICT化についての話し合いをする機会はあってもですね、特に何か進んだとかそういうことは今のところはありません。むしろ後退しているかもしれないくらい。
自分が見える範囲でその理由を分析すると、ヒューマンマターと言えばカッコよさ気でありますが、ぶっちゃけて言えば「人と人の思惑」や「人のエゴ」など、しょーもない理由で全会一致ができてないと考えております。個人的に。
基本、議会内の決め事は全会一致が原則
港区議会34人、今現在会派は7つ。そのうち3人以上の会派は5つ。要はこの5つの会派からICT推進委員というポジションの代表者を決めて話し合いましょうという会があります。なお、前期(1年前の選挙の前の議会構成ね)の時の会派はやっぱり7つ、でも3人以上の会派は4つ。…あんまり変わらんか。でもその頃から基本的に意見が分かれ、全会一致にはなっておりません。
前期
やろうぜ派:タブレットでシュッシュしようぜ!ペーパーレス!
慎重派:よくわからないし!タブレット導入ありきはよくない!行政側ほったらかしじゃダメじゃん!
とまぁ、こう表現すると「慎重派はダセェ」と思われがちになっちゃいますが、この他にも色々と懸念はあったわけですよ。セキュリティ?うん、それもある。使い方勉強会?いや、それはどーでもいい。アンタら自分の息の掛かったような業者に一括購入させようとしてない?うん、それはある。無駄になるのわかってても自分達が導入推進しましたって言いたいだけだろ?うん、それもある。
とまぁ、そんなICTな話し合いのテーブルで私はその任にないんですが、一度代理で出席したことがありまして、そこでまぁなんと言いますか、やらかしてきたことがありました(いい意味で)。1年くらい前でしょうかねぇ。選挙も終わって新しい任期がスタートしてちょっとくらいの時。
個人で好きなもの持ち込めばいいんじゃね?←大炎上
我々自民党さん、昔からの基本スタンスは「導入するというだけの目的はよろしくない」です。なのでペーパーレスだからと言うだけや、誰がどういう資料を作ってアップするのかなど、タブレットは貸し出しなのか買うのか、議会事務局がただはいどうぞと次第だけ入れたタブレットをその日だけ与えてくるのかなど、ある程度の使い勝手を含めたシチュエーションの想定をバッサリ抜きにした「なんとなく今の時代ぽいから導入したい」だけの案は、ただの無駄遣いだと思ってます。しかし何年も前からそういう大切なところは一切話し合われず、導入したいという意見だけが先行しがちな不毛な議論が続いておったわけ。
そこで、代打で出席した1年前くらいのICT委員会で「タブレット導入ありきは変わらず反対するけれども、いっそのこと、好きなデジモノをお試しで個人個人で持ち込んで、何がいいか何がダメかを考えていくことから始めるのでいいんじゃね?持ち込まない自由だってアリよ?」と、インハイギリギリの豪速球で提案してみたところ、びっくりするほど炎上しました。
いやー、正直ね「これなら全会派一致で合意取れるんちゃうか!」って思ってたんですよ。信じてたんですよ。港区議会=個人の良識にお任せと、こんな素敵な議会ないんちゃうんかと。成果は個別の効率化ですよ。そしたら「もうこんな検討会なんか開かない」くらいにとばっちりの公私混同で大炎上。おたくの事情なんか知らぬ。
そしたらちょっと興味深いものが見えてきたわけ。イケイケどんどんでこれまで導入を進めたいとしてきた会派が急に反対に回ったり、急に議員としての御行儀がみたいなことを言い出すところもあったり、なんだなんだやましいところでもあるのかと勘ぐっちゃう。でもそのおかげで何がネックでこの議論が進んでこなかったかがよく見えたわけです。個人的にですけれども。
そもそも。デジモノ持ち込み禁止の理由。そもそも
まず、何故にデジモノ持ち込みが禁止になったかということからおさらいしなければなりません。これは自分が議員のお役目をもらう前、2015年以前ですね、なので聞いた話ですよ。委員会やってた最中に携帯電話がリンリンなって「もしもしぃ?」って言いながら委員会室から出ていった議員さんがいたんですと。こういうのって尾ヒレが付くような話が多いのでどこからどこまでが本当か知らんですけど、そこから「けしからん!」と誰が言ったか知らないけど議会の申し合わせでNGになったんですって。
で、今はどうかと言いますと、ぶっちゃけた話、いますよそういうの未だに。バイブレーションぶーぶー鳴らしてる人いるし、机の下でデジモノいじってる人もいるし。「あーあの人決められたことを守ってない!」「いーけないんだーいけないんだー」とはわざわざ声に出していいませんけれども。みんないい大人なのでね。
そう、我々議員という生き物は、生き物ならではの「ルールを守れない類が少なからず含まれる」という、人類小規模サンプルを程よく表していると思われます。そうですね、これまで実際に見てきたものとして、ここは写真撮影NGですと言われたそばから撮影してリアルタイムでSNSにアップしたり、何時何分まで情報公開NGですというものをフライングしたり、端から見たら「ちっちぇー逸脱だな」的なことかもしれませんが、そういうの見ましたね。
色んな人が色んな認識を持っていることがわかりました
①ノートPCは自分のための作業をする機械である
「個人のデジモノを持ち込むことは、つまり議会に関係ない個人の仕事(や何か)をするから相応しくない」という考えの人がおるわけです。ノートPCを例として挙げてみると、「PCは自分で自分のために何かを作業するためのものだから、議会にPCを持ち込みたい意味がわからない」と、こういう認識なわけですよね。こういう発言があるということはご自分がOKされたとしたらそういう風な使い方しか考えないんだなってただ思ってしまうわけですが、別に資料見るだけでも使えるよという事実は重要視されず、内職できる可能性を残したツールは排除すべきであるということになります(多分)。
②タブレットはペーパーレスに繋がるものである
そしてそのタブレットに関しても「みんなお揃いのタブレット」に何故かこだわる節がある。そしてこれがまた不思議と「すでに持ってる個人のタブレットを使いたい人は使えばいい」というところに繋がる様子はまったく無く、あくまでも一括導入的なところにこだわる姿がちらほらみえてしまうわけです。そしてタブレットタブレット言うくらいですから、タブレットはPCと違って内職できる可能性を残したツールではないということになります(多分)。何故だ。
③スマホは基本遊ぶものor通話/メッセージor SNS or写真でしか使わないものである
個人のモラルですこれはもう。そういう人はそういう人です。だって今だって申し合わせで決めたことすら守れない人がいるんですもの。なお、テキストでメモを取るなどという使い方は一ミリもないようです。
④必要なものは当たり前のように与えられるべきものである
色んな人の意見や発言を聞くと、全員ではないとしてもおそらく多くの議員がデジモノ持ち込みについて色んな想いを馳せていることはわかります。もちろん「どーでもいい」とする人だっておりますよね。で、その中でタブレット導入に前々から前のめりになっている方々の共通の認識を発見しました。たぶん。
「行政側(もしくは議会事務局)がすべて資料をデータ化してそれを当たり前にわかりやすいようにタブレットで閲覧できる状態にして提供せよ」かもしれんと。
そう、これまで感じていた違和感はですね「あ、自分たちで必要なことはやりますんで」と言うだけのことを議員側がやるという前提が皆無なわけ。例えば紙の資料が来たとしても、スキャンしてそれをタブレットなりpcなりにぶっこんで、自分なりの委員会資料作れるわけなんですけれども、前に議会用のサーバー作ってそこにひたすらデータ放り込んでもらって必要な書類ダウンロード(もしくはその後印刷)してもらうだけで万事OKじゃね?と言ったことあるけれども、それすら難色を示す人もいたわけさ。
すべてお膳立てしてもらって、「これでござる」と事務局からお揃いのタブレット渡されて、「うむ」とただシュッシュピュッピュするだけ以外に何することも許されない無駄にお高いデジタルブックをドヤ顔で導入したがってたのが、港区議会ICT推進ではなかろうかと。
自分だったらこうだったらいいなって思うこと
どっかにサーバー置いて、そこに行政側の資料を行政側から直で委員会ごとのフォルダーにでも突っ込んでもらって(これをすることで行政作成の資料だってもっとデータ化進むだろうし)、必要な資料は必要な端末に自分で落として、必要だった印刷して、委員会含むすべてのとこに自分の使い勝手のよい装備(ノートPC、タブレットの2台は必須)で色んなことに望みたい。タブレットの方は資料に専念して、ノートの方はメモ的なテキスト打ったり必要あったら別の資料開いたり、通信手段はあってもなくても別にいいけど、わざわざ議会棟すべてにお金かけてそういう無線飛ばさなくともポケットWi-Fiでもスマホのテザリングでいざという時は十分だし。
所属の委員会以外の資料も見れるもんなら見たいじゃない。今だと委員会終わった後に「資料でーす」って各会派に1部ずつ紙で回ってくるだけなので、控室にわざわざ行かないと見れないし。そういうの全部データで整理したいじゃない、自分的に。おうちでも出先でもアクセスしたいじゃないの。自前のタブレットを「港区議会の委員会全資料」的な一台のデジタルブックとして使いたい。
みっともない実績合戦はやめてもらいたい、が本音
ちょっとまぁ言い過ぎかもしれないけれども、色んなところで「我々が推進してきたxxがとうとう実現しました」的なことを言いたいがための材料として使われやすいのがこのICT関係。正直これがデジタルであろうがアナログであろうが、区民のみなさんにはどーでもよいと思われることであろうかと時々思いますし、デジタル化したことによる効果や成果は使う人次第なものですし。
なお、よく言われるようなデジタル化したことで紙の費用が年間xx万円削減されました的なことあるじゃないですか。でもデジタル化することによる初期費用とランニングコストとの比較なんて検討もされたことありませんからね。後者の方が高くなる可能性だってあるわけで、そういうのは削減PRしたい人は絶対言わないと思われます。どうも「あの人(会派)が言ってるから気に食わない」「自分の実績としてPRしたい」、こういうドス黒い何かが渦巻き易い議会のICT環境整備です。
みんなお揃いのものなんて持つ必要ないよ。使いたい人だけ使えばいいよ。みんな、名を捨ててジツを取ろうよ。