続きね、続き

議員への情報提供のひとつとして、全国市議会議長会とやらが発行してる『政務活動費に関するQ&A(参考指針)』というのが提供されました。その全国市議会議長会とやらのHPで見れるのならリンクでも貼っとこうと思ったけど見つからない。ということは、そこまで大っぴらにしてないものなのかな。よくわかんない。

 

前提として、政務活動費は各自治体の条例に委任されてるもの。なので厳しいところもあれば緩めのところもある。表現が「厳しい」「緩い」が正しくはないと思うけれども、「何をもって適正とするか」は各議会が主体的になって決めるべきものと。地域で事情も異なるだろうから、一概に「◯◯村議会のやつを全国丸パクリで!」というのは違うと思うし、ひとつの議会の中でも議員同士で見解は異なるし。

 

人によっては自分では思いもつかなかったとこに使ってるケースもあるだろうし、その逆もまた然り。要は何が言いたいかといいますと、『他の議員がどう使ってるか知らない』ということであって、それはつまり『絶対あかんダメなケースを知る術がないので、ダメな例から学ぶ機会がない』ことかな。

 

今のところ、ダメなやつで打線組もうと考えてみるも、「日帰り城崎温泉」1強過ぎて他がまったくでてこない。いや、あのインパクトはすごかった。号泣。わんわんわん。だからみんな政務活動費っていうのあのイメージしかなく、議員のイメージもあれ。困る。

 

いや、だから「1円たりとも使うやつは問答無用でダメ議員である」という考えが最初にきちゃうとなんもできなくなるので、ちょっとそれは横においといて。

 

港区議会では一応合意のもと、申し合わせ事項というのがあって、各々それぞれがそれに基づいて試行錯誤してます。多分。ただ、この申し合わせ事項、なんか古いイメージある。けど、気がついたら知らない間に変わってるところとかあって、「えっそうなの!?」ということが実はいくつかあったような。要は議会の中でも周知が足りないのもネックであります。

 

 

発覚するケースは、住民監査請求とか訴訟とか

我々議員が見られるようになった「全国市議会議長会 政務活動費に関するQ&A」では、全国での訴訟ケースによる司法判断の事例も記載されています。そう、行政が好む「前例があるかどうか」。

 

ま、これもICT化が進んだおかげでもあります。共有サーバー的なやつにちょこんと鎮座。それまでは知る術もなかったし、結構分厚いボリュームだから。そんな手元にあるのが平成31年発行のやつで、これに乗ってる事例が平成25年以降のもの(もっと古い判決のもある)。比較的最近のことであったとしても、去年のことが古い時代になっちゃってるもんだから色々と難しい。しかもOKかNGか読み取れない、日本語の素晴らしきお気持ちと読解力を求める結論も多々あり。

 

それではいくつか「え、そうなの?」と思ったものをご紹介

 

Q: 政務活動費の預金口座で生じる預金利子は返還する義務はありますか?

A: 条例等で定めてるなら別として、管理上生じた利子は市の財産に属しておらず、不当利得として返還請求を行うことはできない。(平成27年岡山地裁 預金利息x,xxx円を控除したxx万x,xxx円の返還請求権を有する)

 

Q: 調査研究活動等において使用する名刺代に対する支出は認められるのですか?

A: 調査研究活動等において相手方に名刺を渡すことにより、円滑に調査研究等を行うことが期待できることから、名刺作成のための経費を支出することを認める判例等がある。しかし名刺は、政務活動費の対象となる活動以外にも用いられるものと推認し、政務活動費のみに使用されたことを反証しない限り、50%で按分しその限度での支出を認めている。(平成25年岡山地裁、平成25年福岡地裁 違法であると認めることはできない)

 

でも港区議会では確か「名刺作成代はNG」としてます。確か按分関係なくNG。というか、これ不思議なんですよね。あぁ…そっか…手当たり次第配ってる人がいるからか…。手裏剣投げるようにシュッシュしてる人見たことあるわ。豆鉄砲作戦的な。そりゃPRにしか見られないよね。

 

 

Q: 大学院等の学費に対する支出は認められるのですか?

A: 判例等では、議員の調査研究活動の基盤の充実につながる内容と判断される場合、これを認めている。つまり、受講内容が、今後議員として一般質問や議案審議などを行う際の基盤となるようなものであることが必要。判例等は、議員就任前から通学している大学院の学費について、議員就任後の分についての支出を認めている。(平成28年東京地裁、平成29年広島高裁、平成30年岡山地裁)

 

え〜…なんそれ。司法判断はセミナー参加とか勉強会参加とか同じ扱いなんだ…って思っちゃいました。

 

 

Q: 広報費に対する支出について、どのような点に留意するべきですか

A: 内容とケースバイケース。議員個人の写真やプロフィール等を広報誌に掲載するのは必要最低限にとどめ、掲載する際は掲載方法やその内容から、広報誌に掲載することへの必要性について裁判で立証できるのか十分な検討が必要と考えられる。

平成18年千葉地裁 問題となることはない
平成26年横浜地裁 個別具体的に検討が必要
平成27年長崎地裁 氏名写真経歴等が目立つようにレイアウトされてるから1/2は目的外
平成29年広島高裁 全面写真はPRなので50%限度で返還対象
平成30年岡山地裁 大きな写真と挨拶が占めるのはPRで適合しないから全額返還
平成30年仙台高裁 調査研究活動に関連しない部分が相当程度を占めてるから支出の1/2は違法
平成30年大阪高裁、全身写真や政治信条の割合で1/2は認められない、地元高校の甲子園出場に関する記事と参院選結果の記事は関係ないので7/100は違法
平成30年神戸地裁 会派活動報告分で按分しなさい
平成30年東京高裁 適切な比率で按分しなさい

 

 

というのが司法の判断なんですって。

いやごめん、全然意味わかんない。唯一わかるのは、「按分」がトレンドということくらい。というか、港区議会の申し合わせ事項でも「政務活動と政治活動の区別がつきにくいものは最大1/2で」と按分おすすめする表記もある。

 

そのうち「一般の方の読みやすさを最重要事項として、余白を多めにイラスト・グラフ等多めにわかりやすいモノができたとしても、誌面の1/2がゲシュタルト崩壊起こすレベルの文字以外であることから政務活動と認められ得ず1/2按分判決」とか、血も涙も無い司法判断が出ないことを願うばかり。

 

というかですね、なんでもかんでも按分が当たり前となっていくと、「自腹切ってまで報告書作るの馬鹿らしい」となるんじゃないかなって思う人でてくると思う。そうすると政務活動費って何に使うべきなんだろう。使わないのが正解となってしまうんだろうか。というか、他の方達は報告書発行費用で政務活動費を使ってないんだろうか。もう正解がわからない。

 

そう、やっぱり我々再確認しなきゃいけないのは「政務活動」と「政治活動」の区別なのかなって思いました。写真一枚の大きさで「おめーのPRだから政治活動」と判断されてしまう世知辛さ。むしろ「これは政治活動だからNG」という例をたくさん知るのも大切だけども、「政務活動ってこういうの」とOK事例もたくさん知りたい。確実にみんなの頭の中での定義は違う。

 

でも例えばさ、所属政党が例えば国レベルで推してる施策とか信条みたいなもんあるじゃないですか。それがそのまま地方議会にも降りてくる類のところもあるわけで、そういうのを活動報告的にばーんって出したとしたら、「それって完全に政治活動じゃね?」なんて思うようにもなる。なんかもうすべてにおいて疑心のカタマリ。自分が嫌になっちゃう。

 

とまぁ、色々難しい話であるわけですが、個人的には自分作成報告書発行に係る一連費用はこれからも政務活動費を充当させていただきたいと思ってます。もちろん内容とか諸々は色々と考えながら注意をしながら気を遣いながら。なので、一連をフンフンと全部読んでいただいたありがたい皆様には、「そういうこと考えながら報告書作ってる気の毒な議員が存在するんだ」程度に頭の片隅に置いといていただけるとこれ幸い。

 

むしろ広報費経費に含めていいとされる「茶菓子代」がいつも不思議でたまらんのよ…茶菓子代なんそれ。どういう時の何に対する費用なのかちょっとアリンコ脳ミソじゃ想像つかん。茶菓子ってふるまっていいの?そこからわからん。茶菓子代なんそれ。