港区らしい特色という面で東町小学校に国際学級というものができて4年くらい、できるまでに結構な年月と労力を費やしたと聞いてます。区役所のみなさん、教育委員会のみなさん、地域のみなさんありがとう。ありがたくもこの国際学級のある東町小学校、区内人気校のひとつであります。
日本語レベルがまだ足りないかもなんていう児童に国算社理(日本語、算社理?)を別クラスで英語で教えましょう、それ以外はクラスのみんなと一緒にね、必要なら英語でサポートもしますよ、という国際学級。いたせりつくせり。そんなたくさんの国の子達がいるので、運動会にしろ何にしろ、普通でもイベントでも日本語と英語が飛び交う環境。
9月の定例会で国際学級について教育長に質問をしました。国際学級の増設というのは今まで他の議員さんからも質問があったと思います。でも私のメインディッシュは『国際学級の卒業生の受け皿となりうる公立中学校』に関して。過去の議事録検索かけても中学校に関しては引っかからなかったし、誰も質問したことないのかなあと思って。
そんな国際学級、東町小学校に通わせてる保護者の方々から色んなお話を聞いたことがあります。例えば
『子供が色んな国の言葉に慣れてきた』
『親の外国語に対しての興味が湧いた』
『お友達たくさんできて日本語覚えた』
ポジティブなご意見がある一方、中には
『早く通常学級に移りたいけど日本語が心配』
『日本の教育レベルがわからない』
『日本の教育は素晴らしいのに、なぜ外国人も日本人もインターに入れたがるの?』
『折角の環境だったのに中学校どこにするか心配』
そんなネガティブなご意見も。そりゃそうです。何事もたくさん考えがある。十人十色。思い出しながらこう書き出してみると、聞いた中でもおおまかなトップ2は
1. 言語レベルを問わず、親も子供もこの取り組みにある種の恩恵を受けている。
2. 日本語ができない(又はちょっとできない)子供の学力を不安に思う。
そもそも、国際学級は日本人のための英語学校でもインターナショナルスクールでも英会話学校でもありませぬ。改めて確認すると『(将来お国に帰る前提で)戻った際に困らないように』でありますからして、赴任先が日本という外国人駐在員に向けてるのが基盤であります。
色んなお話を色んなところから聞いて、私思いました。発想の転換をして、国際学級もいいけど日本語学級を設ける必要もあるんじゃないかと。特に中学校。今、港区で外国人のために日本語学級があるのは西麻布の笄小学校ひとつ。中学校はなし。
中学校に日本語学級を設置する利点が多分3つくらいある。ひとつの頭をフル回転させて3つくらい。もっとたくさんの頭をフル回転させたらたぶんもっとでてくるはず。
1. 折角の機会だし、現地校に通わせてみたいと希望する外国人保護者の期待に応えられる。
2. 東町国際学級の卒業生のサポートにもなるし、笄小学校日本語学級の卒業生のサポートにもなるだろうし、ご新規に日本に来る家庭の中学生もいるだろうし、帰国子女にも必要であれば。中学でいきなりザ・ジャパニーズの環境に放り込む前のワンクッション。
3. 日本語学級あら素敵、と校内に色んな国の子達がいる国際色豊かな環境が保たれる。港区っぽい。
どうですか、こういうの。特に日本人保護者からあがる『国際学級を増やして欲しい』というお声は、要は3の港区らしい国際的な環境が整備されることが求められているのか大きいと思われます。
一時期だけではなくずっと日本に住む場合だってあるでしょう。そうしたら中学以降の進学だって考えなきゃいけない。高校受験だって考えなきゃいけない。両親のどちらかが日本人であっても、語学に関する教育は色々と難しいという話もあります。『聞く&話す』ということと『読む&書く』というスキルはまったくの別物。折角の機会ですし、しっかりと学べる機会を設けましょうよ、日本語を。経験してもらいましょうよ、日本の中学校を。
逆に考えてみましょう。あなたが家庭の事情で外国に住むことになりました。何年くらい住むかはわかりません。元気があればなんでもできる!と小学生のお子さんをいきなり現地校に放り込むか、ひょっとしたらすぐ帰国するかもしれないし少し日本語で授業もしながら多少現地の言葉に慣れしたしむまでそこで主要科目をお勉強できる学校にするか、それとも日本語しかできないからということで現地にある全日制の日本の学校に通わせるか。
では、滞在が続いたとします。そのお子さんが中学に進学予定。将来の高校受験や大学受験などの進学も考えて、言葉も試験に受かるような学力も付けておきたいんだけど…なんて場合はどうしましょう。国際バカロレア認定のある学校?いやいやあれは語学できるのが前提だし…ひと昔前の『帰国子女枠』狙いみたいに『国際バカロレア資格枠』でいい学校入学しようとしても、帰国子女枠よりハンパないレベルの人達たくさんいすぎて鬼のような倍率競争になるだろうし…。
そんな時、中学校に『主要科目を日本語で引き続き授業してくれるところ』と、『外国人生徒のために言葉を教えてくれるコースもありつつ、現地のみんなと一緒に学校で授業を受けれるところ』のふたつがあるとして、どちらが魅力あるでしょう。国際化に力を入れる地域でしょう。
英語を母国語としない人達への英語教育をESL (English as a Second Language)と呼ぶのに対し、日本人を母国語としない人達への日本語教育であるのがJSL (Japanese as a Second Language)。第2言語である必要もないんだけど、こんな感じの表現もあると聞きました。このJSLを充実させるのも、日本人の国際化・国際理解教育を発展させる手法のひとつであると思います。
えーだって日本語学級なんてあったら英語ができるようにならないじゃん、なんて感じる保護者もいるでしょう。思い出してください、国際学級は日本人区民は入れません。思い出してください、国際学級は日本人児童の英会話学校ではありません。そして思い出してください、語学でも何でもできるようになるのは『興味を持って勉強をした子』なんです。
どこぞの偉大な消しゴム版画家がこんなこと言っていたような。『英会話取得は日本人の見果てぬ夢である』と。
そんなことを考えて色々と意見交換をしたり、昨日区議会定例会が終わったばかりなのに、次の2月の予算特別委員会のための準備を今から心配しているわたくしでありました。この時期既に新年会など年明けのイベントのご招待が色々と入り始める中、『あけましておめでとうございまーす!なんて言いながら既に新春番組のロケをしている芸能人ってこんな気持ちなのかしら』と、テレビの中の人達に複雑な想いを馳せておりますわたくしでもあります。