多様性

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日本では渋谷区と世田谷区でパートナーシップに関する条例だったり要綱だったり、『多様性』という言葉がいい意味でも悪い意味でも乱立するような印象の最近です。ポジティブな視点であればダイバーシティ、ネガティブな発想であれば…どこかの市議の発言でニュースにもなりましたね、そういえば。

 

私、ものすごい積極的な人権屋さんでもありませんし、真摯なゲイアクティビストでもありませんし、絶好調のウーマンリブ的なわけではありませんが、自民党に属する身としては多分珍しく寛容な立場であります、多分。海外にいたころもそういうお友達いましたし、日本人のお友達だっていますし。なんというか、色々と多分普通。

 

Center for Disease Control and Prevention (通称:CDC)という政府機関がジョージア州アトランタにありまして、米国疾病管理予防センターという感染症対策の総合研究所といったらいいんでしょうか。こちらが2013年に初めての疫学的な大規模調査の結果を公表しています。

 

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これによると、ストレート96.6%、ゲイ/レズビアン1.6%、バイセクシャル0.7%、回答なし/その他1.1%だそうで。アメリカ国内の結果。ほうほう。

 

経験からアメリカでの話しかできないのが残念なんですが、私が大学生だったのが1995-1999年、その後帰国するのが2004年、その間にアメリカでは色んな出来事がありました。当時は知っていたけどあまり気にも留めたことがなかったんですけど、今思い出すとすごく大きな変化が2つ。

 

1. 大学のサークルのようなグループ?で入学当時は『ゲイ&レズビアンアソシエーション』だったのに、卒業する頃に『ゲイ&レズビアン&バイセクシャルアソシエーション』に変わっていたような(まだトランスジェンダーの概念とか表記は多くなかったかと、そしてアルファベットのLGBというような属性の順番も定まってなかったかと。GLBとかBGLとか色々みたような)。

 

2. 1999年にユナイテッド航空とアメリカン航空で社員にドメスティックパートナーシップ制度が導入されたこと。

 

このあたりの流れを含めて、私はいつも『タマゴか先か、ニワトリが先か』ということを考えます。アメリカでのこの手の話、1960年、70年あたりからの人種差別だの何だのという流れは絶対に関係あるわけで、映画にもなったアクティビストで政治家のハーヴェイ・ミルクとかすごく関係あるわけです。ゲイ関連の話はカリフォルニア州がほぼスタートなわけであって、ユナイテッド航空なんかサンフランシスコをハブにするメジャー航空会社だし。

 

2000年前後にパートナーシップ制度を求めて航空会社に応募が殺到するというような話もたくさん聞いたことありました、そういえば。福利厚生としてね。

 

いや、一般企業で初めてドメスティックパートナーシップ制度を従業員に導入したのはニューヨークのビレッジボイスというのも聞いたことあるなあ。しかも1980年代に。その後にカリフォルニア州バークレー市でも導入とかそんなこともあったような。ちょっと時系列と場所がごちゃごちゃでごめんなさい。

 

とにかく、色んな流れを組んでるわけですね。私のような単なるイチ留学生でも肌で感じてわかるのうな、変わっていく雰囲気が。条例が先がといえば違って市民運動が先。その市民運動が先かといえば、その前に別件の市民運動なり政治絡みであったり。とっても難しい。

 

何が言いたいかといいますと、世の中を変えるものすごい起爆剤になるのは『企業の発想転換と発信力』ではなかろうかとずっと思っています。アメリカがここまで寛容な国と思われるようになったのは、移民の多い多様な人間がいたからではなく、ゲイを公表した政治家がいたからではなく、数十万のアクティビストが頑張ったからではなく、ちょっと前に最高裁かなんかがそう判断したからではなく、2000年になるちょっと前に色んなそういう背景を基盤にして企業(特に航空会社)がそういう制度を導入してそういう社員が増えて、全米全世界あっちこっちに飛行機でそういうフライトアテンダントさんを目にしてもらう機会が増えて、心のキャパが広がるという。

 

みなさん、飛行機乗って感じたことありません?(注1:全員が全員じゃないですからね、ホントに)(注2:全員が全員寛容とは限りませんよ)(注3:経験に基づく単なる個人的な感想です)

 

これからの世界が変わっていくという前提においてのタマゴが先か、ニワトリが先か。条例が先か、たくさんの人の意識が変わるのが先か。難しいところです。でも日本って『グローバルの目標、でもローカルな発想』的なところが多いので、どこどこもやってるからとか、よその地域の事例がどうとか、隣の家のトリばっかり追わないで自分のところの飼育環境の分析から始めてもらいたいもんです。隣の芝生ばっかりみないで自分の庭の土壌分析から始めてもらいたいもんです。個人的な見解。

 

家庭のあり方が云々という戸籍制度という家族単位でものを考える文化背景と、個々単位の身分証明でものを考える文化の違い。アジアの中でもゲイに寛容なタイ、仏教徒の多いタイ、輪廻転生の概念から現世の姿に固執しないから寛容だなんて説も聞いたことある。文化背景ってほんと不思議。

 

ちなみに日本での統計や調査という面では電通さんが今年の春に結果を報告しております。比率は7.6%。商業ベースのマーケティング目的だし、少し違うかと。アンケートであろうがきちんとした質問票を作成するのも学術的な手法が必要だしさ…。よくテレビ局とか新聞社でやってる『支持政党』とかの比率も各社で全然違うでしょう、それと同じ印象持っちゃう。

 

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どっかにちゃんとした分析ってないのかなーと探してたら東京大学のページに論文誌のセクションを見つけました。『相関社会科学』という年イチ発行の査読付き論文誌だそうで。

 

そしたらこんな。タイトルもそのものスバリ、『日本における同性愛に対する寛容性の拡大』。どなただろうとグーグル先生に聞いてみたら、明治学院大学の教授とのこと。…なんというかさすが明学。友人の姿が脳裏に浮かぶ。元気にしてますか。

 

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とまあ、統計とか数字というものはとても興味深いもので。

 

性的マイノリティに対する配慮を、という質問が議会で取り上げられることもこれから多くなると思います。でも同時に『配慮した場合の、他の人々への配慮』も考えないといけないんじゃないですかね。例えば条例に背いて配慮しなかった人や企業を公表なんてしたら、全体的に平等にネガティブな結末を迎えるでしょうし。

 

日本はなんとなくですよ、個人的な主観ですよ、なんでもかんでも性同一性障害(GID: Gender Identity Disorder)とまとめようとする傾向があるように思うの。GIDだったら仕方がない、みたいな落としどころを。でもそれ違うと思うの。

 

タマゴが先か、ニワトリが先か。エンターテイメント性に便乗したい業種もあれば、お金とか票とかに結びつけたい業種もあるのも事実。きちんとした統計も欲しいところだと思うし、私まだまだ薄っぺらい知識と経験しかないからすっごい難しい。議会とかで質問で取り上げる議員さんの知識量がどのくらいなのか知りたいわ。何の文献参考にしてたりするんですか。