港区商店街・商店等実態調査 その4

さて、今回が最終回となる港区商店街調査報告。最終回となる、というより最終回にしなきゃみんな飽きてるよねごめんねって方が強いような感じ。前回は2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催が決定したからビジネス期待できそうかな?案外みんなシビアでそうでもなさそうね的なところまで報告しました。わっしょーい!なところもあると思いますし、そういう業種で期待できるところもあるでしょうし、要はものすごい温度差あるよね商店街ということです。

 

 

港区の商店街に対する支援のひとつに商品券発行支援というのがあります。ほら、プレミアム付き商品券とかそういうやつ。港区が全国で初めてプレミアム商品券を発行したのが、いつだっけ、1998年とかそれくらい。そこから色んな自治体が年に1度、国からの交付金とかを使って商品券発行をするようになったわけです。港区はそういうのナシで単独で年に2回ほど継続してます。すごいよね。でも人によっては『税金で商店街支援なんてけしからん!』と考える方もいるわけです。

 

でもね、商品券ってあくまでも消費喚起なわけで、プラスαでお店にお金落としてもらえませんかね!という意味合いが強く、個人的にはそれでいいと思ってます。だってほら、福祉目的になっちゃうとそれこそバラマキで、プラスαが期待するほどなくなっちゃうわけでしょう。初めてプレミアム付きの商品券を作った地方自治体の市役所の人が言ってましたよ、消費喚起という意味がわかりましたと。データとしても福祉枠での使用額ってやっぱり低かったんですって。プラスαが。

 

それはさておいて、個人的に商品券というものの認知度をもっと高くしてじゃんじゃん使ってもらいたくがんばりたい小倉りえこなわけですが、もちろん経済を回していくためのツールとしての意味合いがほとんどです。調査の結果でも、予想通りというか期待通りというか、物販のお店の方が商品券は有効だと回答してくれてるのが半分を超えるわけ。なぜだと思う?わかる?これってね、多分ですよ、おそらくですよ、というか絶対そうだと思うんですけど、客単価です。

 

物販店と飲食店。お客さんが使う額って違うじゃないですか。どう逆立ちしても飲食店の方が物販店より1回で使う金額大きいじゃないですか。そこに例えば1枚商品券がお財布に入っていたとしましょう。港区の商品券は500円単位です、つまり500円券です。ちょっと得した気になっちゃう500円券です。飲食店で例えば5000円と対価をお支払いする中で『500円の商品券あるからビールもう一杯飲んじゃおうかな⭐︎』はあると思います。というか、ありますよねそういう時。ビールじゃなくてもジュースもう一杯いこうかなとか。そうすると例えば全部で5000円が5500円になるわけで、商品券1枚使うことで一人の使用金額が11%アップします。ここまではいいですね?

 

物販店の場合、モノによって1回の買い物で何千円も何万円もある時もあるかもですけど、今回は客単価の例え話をしているので、わかりやすく本屋さんとか文房具屋さんとかをイメージしてください。雑誌1冊500円を買いに出かけたとしましょう。おや、お財布に1枚商品券が入っています。『こないだ出たマンガの新刊買っちゃおう』とできちゃうわけです。ボールペンとノートを買いに出かけたとしましょう。おや、お財布に1枚商品券が入っています。『こっちとそっちと悩んでたけど、両方買っちゃえ⭐︎』ができちゃうわけです。500円が1000円ですよ。商品券1枚使うことで一人の使用金額が50%アップですよ。

 

そういうことです。お店の売り上げだって比例するわけだし、それでお店継続していくのに助かるところだって少なからずあるわけです。だから物販店は『商品券って有効だよね』と感じてくれるところが多いわけです。物販店が少なくなると暮らす上で不便でもありますし、そういう意味でも商品券の使い勝手とかもっと使ってもらえる方法とか頑張りたいんですよね。ま、そんなことはさておいて。次。

 

今後はビジネスどういう感じでされます?という質問では、大多数が『継続』。『拡大』『新しい事業で』というところもありますし、でも残念なことに『縮小』『廃業・閉店』というところだってあるわけでして。

 

業種別によると、『辞めちゃいます…』というお店の4割が物販です。『ビジネスを小さくします…』という4割弱も物販です。物販が少なくなっていく商店街、物販がビジネスをしにくくなっているこのご時世、どうにかならんもんか考えたいわけです。商店街から物販店がなくなったら悲しいじゃないですか。暮らしにくくなっちゃうかもしれないのが悲しい。

 

ご自分の土地と建物でビジネスしているところの『縮小』『廃業・閉店』が多めなのが気になります。そりゃ色々あるでしょう、例えば誰も継ぐ人いないとか、継ぐ人がいるかもしれないけど相続の問題とか、そりゃ色々あるでしょう。そうするとますますテナント貸の出店というところが多くなり、家賃とか人件費とか考えてペイできる業種しかビジネスできなくなっちゃうのかなあ。そんなことを考えるような結果でありました。

 

そんな港区における商店街・商店等実態調査。最終的に報告書は調査した9つの商店街を3つのグループに分けました。うん、わかる。麻布十番商店街だけ別枠ってのわかる。知ってた。むしろ最初からここ繁華街型に振り分ける調査もどうかとは思ってる。それ違うって最初から思ってた。

 

その他、それはどうなんだろうなということがひとつありまして。アンケートの回収率が平均で32.1%、この手の調査で少なくはないというけれど、本当にそれって地域の実態を把握しているのかなあと。この結果で区の計画が決まるようなものですからね(地域の要望があればその限りではない、多分)。

 

もやもやしています、もやもや。や、多分『そうあって欲しくない』という願望というか希望というか、そういう感情が入っていることは間違いなくてですね。アンケート出すの忘れちゃったとこもあるだろうし、答えるのがめんどくさかったところもあるだろうし、むしろこういう調査で地域の商店街支援が決まると思ってなかったところの方が多いのかなとも思います。こればかりは仕方ない。色々ともやもや。

 

そんな『港区における商店街・商店等実態調査の報告書』と前年に行った『港区における区民の消費に関する報告書』はコチラから。