やさしい日本語

在米約11年、どちらかというと英語は『ペラペ』か『ヘラヘラ』くらいな類です。そんなヘラヘラな自分だからこそ言いたいのがですね、ものすごく簡単な言葉だと何語であれ意外に意思疎通できる可能性大な説。

 

世界の共通言語は英語、そんな決め打ちな認識でモノゴトが動いてしまうなんとなくの今の世の中。『あの人は英語ができるからそんなこというのよ』とか『英語ができない人の気持ちはこれっぽっちもわからないのよ』なんて時々言われちゃったりもしますけれども、そんなものは心持ちひとつでどうにでもなるもんです。

 

例えばそうですね、ほぼほぼ1ヶ国語しか話さない圏の人に仕方ないのでツールとして世界が合わせてあげようと、世界は優しいですね

 

そんな嫌味たっぷりな憎まれ口ひとつ叩いてみるだけであら不思議、なんか少しだけスッとするではありませんか(※効果・効能を示すものではありません。個人差があります)。

 

そんな『英語だけがコミュニケーション言語』という概念を少しずつ崩してもいいんでねえかと区に導入してもらったのがそう、それがやさしい日本語。

 

日本語ってどうなの

これを説明するにはまず『ニホンゴ、ムズカシイネ』という、我々の母国語の複雑さを語らなければなりませんが、語るだけのアレとかソレが足りません。もちろんこれ以外にもですね、『外国人と呼ばれる方々が全員英語ができるとは限らない』という前提もありますし。

 

あれはいつのことでしょうかね、2年くらい前ですかね、議会で質問をするにあたりこういうこと考えてるんですよねと担当課とお話をした時のこと。

 

『こんだけ外国人人口がありますとね、英・中・韓だけの言語じゃカバーしきれないんですよね』

『ですよね』

『この国に住んでる人で日本語の方ができる人だっているわけですよ』

『ですよね』

『ですよね』

『同じ方向向いてます?』

『ですよね。じゃあそういうことで』

 

と、双方すでにたどり着いていたことが『ここは日本だし日本語でコミュニケーション取れるならそれ超最高』と。それがやさしい日本語。

 

同じ方向向いてたおかげで順調に進んでますよ、やさしい日本語。

 

やさしい日本語とは

えーと、一言でいうと外国人向けの簡単な情報提供のための日本語です。今のご時世では大きく分けて2つの目的(減災のため、地域のため)を持つようになりました。詳しく知りたい方はグーグル先生がいくらでも教えてくれますので。

 

ま、そんなやさしい日本語なわけですが、昨年度くらいから港区さんが『よっしゃ、やるでー!がんばりまっせー!』と、世間一般的には地味ではあるんですが結構力を入れてくれてます。あざっす。多分これから他の自治体でも注力し始めるんじゃないですかね。

 

で、このやさしい日本語ですけれど、外国人のためと言いながらも、実はとっても日本人向けのものなんですね。日本人が知っておくべき言語のひとつ、くらい言い切って良し。

 

初めてのやさしい日本語講座

在勤、在住の港区の方向けにですね、やさしい日本語講座が開かれております。どんな感じなのか先日見学させてもらいました。参加者は10代から70代まで、幅広い方々に興味を持ってもらえているということがまず素晴らしい。

 

日本の大学に留学中の方々をゲストに招き、何をどう言ったら理解しやすいのかを実践形式で。

 

コツは言い換える

例えば英語でもそうなんですけれど、その単語を知ってるか知らないかという差はとても大きいわけです。よく例えとしてやさしい日本語で出される『避難→にげる』もそうですけど、いくら避難に(ひなん)とルビを振ってもその言葉知らなければダメですよね。英語にしてみるとEvacuate(避難)は意味がわかんないけど、run away(逃げる)ならなんとなく音でわかる人もいるでしょう。アウェイにランするんですもん。つまりそういうことです。

 

え、まだピンとこない?そーですね、猫のことをミャウミャウと言う感じですよ(違う)。

 

今のご時世、スマホなり他のデバイスで一発翻訳もあっという間にできる時代になりました。多分そのうちもっと手軽な翻訳こんにゃく的なモノも発明される日も来るんでしょう。でも英語を習っている英語を話したい人がいるように、日本語を習って日本語を話したい人もいるわけですからね。

 

何がどうやさしいのか

日本人にとってのわかりやすい例えは英語です、もちろん英会話ね。身振り手振り含めて知ってる単語を駆使して自分の伝えたいことを頑張って伝えようとするじゃないですか。んで、一方通行で伝え切ったところですごい満足しちゃいません?その後にマシンガンのようにベラベラベラっとよく聞き取れないことを早口で言われてサッパリわかんなくて凹んだ経験とかありません?

 

そう、基本外国語って伝える口と聞こえる耳はあんまり比例しないんですよね。『何とか言えるけど言ってることサッパリ聞こえない』とか『何となくわかるけどいっこも返せない』とか、よくある話。日本語勉強してる外国人もそう。同じなの。

 

内容はどうであれ、ゆっくり喋ってくれる人だと安心するでしょう。しかも、すっごい簡単な単語使ってくれるとめっちゃ親切って思うでしょう。

 

やさしい日本語、『優しい』と『易しい』が描け合わさってるとこらから、どちらかというとすでに難しいという日本語らしさを残しつつ。

 

思った以上に言葉が通じない

講座の最後に、参加された方が感想を述べておられたんですが、そうそうそうなのと納得することばかり。

 

例えば『ごはん』。食事のことだったり、お米のことだったり、日本語の単語はひとつで複数の意味を持ったりしますし。英語圏の方に良かれと思って『しょうが』を『ジンジャー』と言ってみたら、『神社』だと思われて会話混乱。

 

『おなまえ』、『おこさん』、など、『お』が付くことで一気に理解できない言葉(知らない言葉)になると。ふむ。確かにそうね。

 

ま、何はともあれですね、外国の方を見かけたらまず『この人は日本語がわかる人かしら?』という探りから始まるのは仕方ないことと思いますけども、とりあえずにっこり微笑んで『こんにちは』から始めましょ。