文化プログラムの続き 

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<前回までのあらすじ>

文化プログラムって結局するんだろう⇨そうだ聞けばいいんだ⇨今ブラジルで文化プログラム真っ最中のはず⇨そうだブラジル大使館に聞こう⇨問い合わせ⇨電話かかってきた

 

『日本のブラジル大使館はですね、ブラジルを日本にPRするための窓口であって、お求めになっているブラジル現地の情報等は日本の外務省が現地にある日本大使館で調査・情報収集を行っております。なので外務省にお問い合わせいただくのがいいのでは』

 

ハイ、それはもう良く存じ上げております、大使館の役割。

 

これまでの文化プログラムのリサーチ・勉強に関しては、区議会の特別委員会、東京都主催のシンポジウム、区主催の国際化強化推進フォーラム、全部日本語で日本人から聞いていっこもわからなかったわけです。概念は理解できるんだけど、具体的な姿が全然浮かばない。区は結局なにするの?とか。

 

港区はトライアスロン競技のホストもするし、国際交流を含めて国際化に力を入れていく区であるわけだし、私はどうしてもブラジルのお方から直接お話伺いたいんです!ブラジル大使館は港区にありますし、そんなご縁でどうにかならないかと思ってご連絡いたしまして!どうにかなりませんか!お取り次ぎいただけませんか!と交渉という名のお願いをしてみまして。

 

そしたら数日後に再びお電話あり。文化部・スポーツ協力部の書記官にアポイント取っていただけました。やだ……どうしよう、すごい嬉しい。ありがとうブラジル大使館。

 

『ただし、書記官は日本語話せませんので英語でお願いします』

 

やだ……どうしよう、全然問題ない。自称バイリンガル議員の本領発揮の場。活躍の機会を与えていただきまして、ありがとうございますブラジル大使館。

 

国も東京都も港区もロンドンを参考に、と言ってるところを何故私がブラジルにこだわるのかという理由はふたつ。ひとつは前述した『今やってるから』、もうひとつは『2014 FIFAワールドカップからの2016オリンピック』です。日本も似たような状況ですよ、『2019ラグビーワールドカップからの2020オリンピック』。スポーツ集客力世界3大大会のうちの2つが1〜2年で行われる国同士ですよ、参考にならないわけがない。

 

委員会とかで『港区は一体どうなってるんですか!』とか『港区の方向性がちっとも見えないじゃないですか!』なんてチクチクつつくだけの議員になるのは恥ずかしい。そういう人に限って『行政をチェックし、提案・実現しました!』なんて言いがちなこのヘンテコな世界。それはいかん、みっともない。自分でちゃんと勉強してから対案・代案・修正案を提案しないと……あれ、ひょっとしてこの訪問、港区のためだからこそ行政側にしても重要な案件なのではないかしら。然るべきところに聞いてみた。

 

『ブラジルの文化プログラムについて調べたりしてます?』

『いいえ、お手本はロンドンですし、リオに関しては情報がないので』

 

ユー、一応情報は取りにいかなきゃダメよ。どこかの先生も言ってたわよ、諦めたら試合終了だって。

 

『私、ブラジル大使館のアポイント取ったんですけど、折角の機会ですし、区にとっても重要なはずなのでご一緒しませんこと?』と区役所の然るべき部署にお誘いをかけました。結果、私含めて3人で伺うことに。ひゃっはー。

 

ブラジル大使館文化担当のブランカンチさん、個人的にすごく参考となる点がたくさんあり、非常に有意義でした。区にも都にも国にも文字を大にして言いたい、リオの取り組みも参考にされてはいかがですか。

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話を聞く上でわかったロンドンとリオの大きな違い。それは『ロンドンはトップダウン型』であり、『リオはボトムアップ型』であること。どういうことかといいますと、ロンドンの大規模展開はお上が決める(国とかIOCとか)。それに比べてリオはお上も決めるけれども、市民レベルで個人や法人も企画を持ち込む。あとお国柄もあるんでしょうか、リオは開催半年前(つまり今度の4月)からが文化プログラムの本番。今持ち込み企画を絶賛審査中。その数、それはもうすごいことらしいですよ。ワォ!って言ってたし。

 

文学、パフォーマンス、音楽、ビジュアルアーツ、その他いくつか、文化プログラムはカテゴリーが決められています。しかも『誰もがアクセスできるオープンスペースで無料でも行うこと』も条件となっており、一般の参加というものがとても重要視されていると。色んなルール等はそのうち文化プログラムマニュアルみたいなのが日本語でもできるんじゃないでしょうかね。というか、エンブレムやスタジアムデザインばかりじゃなくて、文化プログラムももう少し焦点当ててみませんかメディアの方。

 

あと、とても興味深かったのは『リオは2014年にFIFAワールドカップがあったので、4年間ぶっ通しでオリンピック文化プログラムを実施するのも難しかった』と。なんというか、FIFAとIOCの仲もあったようですよ、別組織だし。ここ、日本は仲良しでいてもらいたいですよね、ラグビーとIOC。

 

あと、オリンピックまで4年とかくらいの時期から色んなところでイベントを頑張るというよりは、地域の小学校やコミュニティで『オリンピック教育』から始めたそうです。オリンピックに関すること、スポーツに関すること、スポーツに親しむこと、スポーツを通じた健康への関心、外国人観光客への対応(おもてなしとボランティアは別物ですよ)、プロスポーツ選手との交流、などなど。

 

他にもいろいろお話したり、意見交換したり。すごくためになりました。一緒に来てくれた区の職員さんにも同じように感じてもらえると嬉しい。もちろん忘れないうちにと報告書を作成して然るべきところに配布済み。ぜひ参考にしてもらいたい。

 

すべてを踏まえて、港区で何ができるんだろうと考えています。リオのようなボトムアップ型でたくさんの区民の自主的参加を募るのもすごくいいと感じるし、文化のひとつとしてお料理に関する何かも楽しそうだし、毎年やっているような区のイベントを文化プログラムと位置付けて盛ればいいのかもしれないし。国や都やIOCとの兼ね合いもあるんでしょうけど、是非港区も複雑なルールの中で『何ができるか』からお願いします。盛り込みすぎるとよろしくないので、合言葉は『隙間産業』でよろしくどうぞ。

 

<予告> なんてこったジョー!毎月第1第3木曜、だと……!
小倉先生の次回作、『そうだ、保健所行こう』にご期待ください。