で、委員会の視察の続きなんですけれども、やっとこ本編に突入。本当は視察に行くまでのアレやらコレやらの裏話も書きたいわけですけれども、そんなことしてたら本が1冊書けちゃうくらいなので割愛。呉市ではデータヘルスによる健康寿命の延伸についての取り組みを伺いました。
健康寿命を伸ばしましょう=医療費削減
健康寿命を伸ばして医療費削減をがんばりましょうというのは、一昔前はよく耳にする機会があった、いわゆるピンピンコロリというやつのリバイバルだと思ってます。ま、医療費削減がすべてではないですけれども、元気な時間が多ければそれだけ働くことも可能になるし、生き抜くためのモチベーションもあがるし、病気予防に気をつけることもあるでしょうし、元気があればなんでもできる。簡単にいえばそんな感じです。たぶん。
地方自治体でこの健康云々というところを一生懸命頑張らないとという理由があるわけです。それが何かと言いますと、国民健康保険です。ただしくは、国民健康保険の保険料を税金として徴収している上、そこから医療費が出されていくわけ。入るものより出るほうが大きくなると赤字になっちゃう。一応これも税収の類、バランス大事。
で、呉市は国保のレセプト(保険診療の医療明細と思っていただければ)をデータベース化して、糖尿病の重症化を防ぐ(透析まで重症化するのを予防)モデル事業としてちょっと有名でありまして、どういう経緯で取り組んでこられたかとかそういうことをネットとかのリサーチだけではなく、実際に携われた方にお話を伺ったりですね、市役所のロケーションだとか人の動きの動線だとか、自分の目で見る耳で聞くというのは大切だと思います。
目的のためなら改革もいとわず
ところで、呉の市役所もとっても立派な建物でしてね。我々港区からの税金も上へ上へと吸い上げられてそれが還元されずに地方に回されるものですから、ガラスの1枚くらいの貢献度はあるんでしょうか。それにしても税金と(げふんげふん)。
ネーミングライツ的な制度を採用されているようで、どこの地方自治体も独自財源や独自税収を上げるために様々な努力もされていることも忘れることなく。
お話を伺っている中でとても興味深かったことが、レセプトのデータベース化にあたって担当を保険年金部署だけではなく、福祉保健部署も関わらせたということ。港区の場合ですと、国民健康保険は国保年金課がほぼ100%でお仕事担当するわけですけれども、国民健康保険の加入者の大半を占めるのは高齢者という視点も含めて大きい枠で物事を考えて推進したというところですかね。
まぁもちろん国保の方以外のデータベースはアクセスできない的な問題もありますし、自分たちのところにある情報で色々解析してなんとかしよう、という意気込みがよく理解できました。
何年も何年も、市役所だけではなく医療の課題って地域の病院とかお医者さんとか、つまり医師会や薬剤師会の協力が必要不可欠。基本、役所だけでできることってそんなに多くないというのはどこも一緒なんですかね。
データベース化をすることで、予防が可能と思われるような何かを発見したり抽出することができるようになったわけで、「医療費削減には、とりあえずジェネリック処方」みたいなざっくりしたものではない何かを明らかにするというのは大きいことだと思いますよ。
医療費削減をするために、まず透析に注意
呉市が目をつけたのが、「糖尿病が重症化して人工透析になる患者さんを少なくしよう」ということ。糖尿病という生活習慣病、まぁ生活習慣関係なく発症する方もいるけれども、とりあえずここでの話は生活習慣病としての糖尿病。通常でしたら、運動と食事制限と、要はバランス良い生活で改善に取り組んだり予防をしたりするアレです。自分も気をつけないといけないやつ。うち、糖尿多い家系なんすよ。
糖尿病っていろんな合併症的なものを引き起こしたりします。神経とか目とか腎臓とか。その中で腎障害はひどくなると人工透析に繋がることになり、この人工透析という治療が要はお高い。
いただいた資料によりますと、糖尿病の方が2万人いて年間3.4万円かかってたとするとそれだけで6億8,000万円。その中からインスリン治療に移行する人が850人で4億2,500万円、さらにそこから人工透析が100名ちょっとで6億4000万円。レセプトデータベースから、どのような人が透析治療まで進まず予防できそうな人かを探れるわけですよ。そしたらその分医療費は削減できる。
もちろんジェネリックに処方変更することで十分の患者もいるわけですし、人によって様々です。でもこういう数字を改めて目にすると、予防というものが医療費削減に繋がるということがよくわかりますね。
医療も介護も
国民健康保険データからの糖尿病腎症だけではなく、介護保険データも組み合わせて骨粗しょう症の重症化の予防に取り組んだり、そういうの関係なく市民全体の全年齢の健康を見守るための取り組みだったり、いわゆる包括的な健康政策というんでしょうかね。最終的には個人の話になっちゃうんだけれども、行政ができる範囲でできることを考えて実施するというのはやっぱり素晴らしい。
港区にも採用できる何かはあるはずなんだけれども、地域事情や大人の事情やその他諸々があるかもしれないけれども、なんか探していきたいと思います。表面的にしか知らなかったことだけれども、深く知れたので知識の蓄積。お勉強になりました。
呉市は呉氏
駅で遭遇した呉氏の顔出しパネルですけれども、SNSで宣伝しなくて地味にこっちでごめんなさい。日本全国津々浦々、各地域でゆるキャラ的なものがあるところはこうやって広報活動に余念がなく。こう考えると港区はがむしゃら感はゼロですよね。
さて、視察はまだ終わらず、次回は下関編。子供の遊び場をチェックしに。