今からどのくらい前になるんでしょうか。「現物支給でも助成でもなんでもいいから制度を作れと言う人いるけれど、それじゃ全然ダメだからきちんとしたやつお願い」とご相談を受けたのは。
それまでも確かに難聴支援という点で、補聴器の助成を作って欲しい・作るべきというご意見ご提案は議会でも聞いてはおりました。いずれも「難聴は認知症のリスクがある」とか、「補聴器は高いから」とか、さまざまな理由で助成制度の検討をという要望でした。
わかる、わかるんだけど、なんか違うなと思っていたんですが、何がどう違うかを明確に感じるまでにはいかなかったんですよね。お困りの方がいるのは事実であって、ただそれを救いあげる理由に「難聴は認知症のリスクがうんぬんは(確かにランセットの論文でもそうありますけれども)、なんか表現は悪いのかもしれないけれども脅迫みたいな脅しみたいな、そういう使われ方をするのはいかがかな」と感じることも多々あったし、「高いからという解決策に助成金バラまくのもちょっと違うな」と思ったし。
そう、「ただ与える」ということに違和感があったんですよね。それでいいのかと。もちろん与えた先にはコミュニケーションとかQOLとかに繋がるのわかってるんですけど、なんか変な違和感があったんです。不思議な感覚。
継続的に議会で取り上げたり、それ以外に色々
これまでずっと、自分的な補聴器に関する一貫した考えは「正しく使ってもらうこと」でありました。ただ与えることに違和感があった理由は、「補助金もらえるからなんでもいいから買うか!」、「デパートでオススメされたやつ買ったらいいんでしょ!」とかをよく聞いたことあったからかなぁって。そういう方が多かったから、ちゃんとした制度を作ってくれというご相談だったんだと思う。
なので、一番最初に自民党から議会で取り上げた時に、区長から「実用的な事業のあり方を検討していく」と非常に前向きな答弁がありまして。じゃぁ実用的な検討をしてもらいましょうよと、それからもちろん役所ともたくさん話をしたし、お医者さんともたくさん話をしたし、補聴器の業界の人たちともたくさん話をしたし、さらに厚生労働省とも話をしましたよ。もちろん国会議員ともね。自見はなこさんどうもありがとうね。
そんな感じで色々ありましたし、色々やりましたし、もちろん厚生労働省の研究事業にも加わることができましたし、「よし、素敵な制度にしよう」と検討スタートしてから2年計画で実現に漕ぎつければいいなと。で、2年でカタチになりました。
適正使用に特化して、正しく長く使い続けてもらえる補聴器助成制度。これが私の目指してたもの。
その名も、「港区モデル」(注:名付けてない)
「専門家に常に関わってもらうこと」が、継続使用の一番の重要な点だと思います。ただ「お金あげます」だったら、1回買い切りで終了しちゃうじゃないですか。補聴器ってとにかくメンテナンスが必要だと聞いたし、チューニングなり色々プロのお手入れが必要とも聞くわけですよ。
とまぁ、思い描いた制度設計がほぼそのままカタチになったわけで、やっぱり最初から関わっていた身としてはすごい嬉しいですね。「できた!」というのもあるんですけど、「わかってくれた!」と一緒に頑張ってくれた役所の理解が嬉しいもんであります。
金額も大幅にアップで、非課税世帯で上限13万7,000円、課税世帯で上限6万8,500円。これってすごい。もう発表された瞬間から、補聴器業界ザワザワしたもの。
最初、所管課が上に上げた「予算つけてください!」の予算要求では、確か非課税世帯7万5,000円とかくらいだったんですよ。それが上へ上へ(区長査定)に進んでいって、さぁ完成しましたという時にばこーんとたくさんの予算を付けてもらえました。区長ありがとう。いい制度だと思います。ほんと、マジで。
ご相談を受けてから2年とちょっと。キチンとしたやつ、作れたでしょうか。
予算賛成多数で可決されましたら、4月からご利用になれるのかな。来年度は200名を超える人数を想定しての予算取りではありますが、補聴器相談医を受診して、「補聴器必要ね」となったら、認定補聴器技能者がいる販売店舗でよろしくお願いします。プロに関わってもらってくださいませ。大切なお耳ですから。
あっそのほかにもちょこちょこまとめてます。