マニフェストという単語が流行った時期がありましたよね。政治的な意味で『選挙公約』とある時から意味するようになりましたが、本来の英語の意味として『明らかにする』というのが妥当なところでしょうか。
さて、先月に総務省による選挙後の選挙公報の取り扱いについて以下のように意見がありました。
「投票日の翌日以降、選挙公報を選挙管理委員会の記録用のホームページに掲載することについては、次回以降の選挙に係る選挙公報と混同されたり、選挙の公正を害するおそれのない形式でおこなわれるものである限り、差支えない」
つまり、今までは選挙後は各候補が作成した選挙公報をホームページ上からすぐに削除していましたが、それがこれからはすぐに削除する必要はなく、有権者への情報提供の一部として捉えることができると。4年間の任期の間に公報に掲げたことを有権者の皆様がチェックできるよう、各自治体のホームページ等にずっと掲載する、そんな利用になりそうな流れでもあります。
そこでひとつ疑問。
『本当に事後評価として用いるツールになり得るのだろうか』です。疑問の理由は2つ、『本当にあなたがやり遂げたの?』と『あなたがした事はどうやって知りえるの?』を解決するための情報収集の術が足りないから。
その公報に書かれたことが絶対無二の約束事なのか、その個人が目指す未来の姿なのか、読むだけでは判断がつかないことにあるのではないかと感じることが多々あります。だって、政治に絡む物事ってひとりで成し遂げられることではないんですもの。地域の方々の理解もあり、行政の協力もあり、そして区議会全体でそりゃもうものすごい議論をするわけですよね。自分が頑張ったから達成した!というよりは、たくさんの人々の意見がある中でより良い方向性を見出した!みんなで頑張ったからできた!と言えるだろう事のほうが多いはずと感じているのが理由です。
ちなみに私は前述の後者のカテゴリーに入るであります。公報の中のひとつに『医療・福祉環境の充実』と書きました。類似した点を公報に挙げている方も他にもたくさんいらっしゃいますね。これらの福祉等の件はこれからの人口増加や超高齢化社会と深い関わりがあるので、基本的に無視できないものです。そんなことは現職・新人議員関係なく、普通に生活している人でも行政でも当然わかっていますよね。そして何年も前から人口統計の予測もありますし、当然様々な計画も立てられているはずです。『特養やグループホームの増加、地域包括ケア、質の向上』の類が何年も前から課題となり、議会においても案件としてあげられています。何年も前から。
では、これからの4年の間に『高齢者サービスの充実した何か』が決定されたとします。色々な人が関わって、委員会でも議会でも長い時間をかけて議論されて採択された議案とします。私は医療・福祉環境の充実を公報に書いたからと言って『自ら掲げた事を達成した』のでしょうか?
否。
子育て支援だとか学校に関することも、同じことが言えるかもしれないですよね。昨日その問題を初めて指摘したから今日その問題が案件として初めて出てきたのか、考えれば簡単なことです。んなことない。区役所のことです。何年も何年も検証に検証を重ねて、必要以上にあたためていたはずです。議員の立場として早期に実現できるよう多少のお手伝いや、当初の計画より時代に沿ったもっとよいアイディアを盛り込むことは十分に可能でしょう。しかしそれを私が考えて達成したと言い切っていいものではないと考えています。だって一人でできないもの。みんなが賛成しないとできないもの。
議員の仕事っぷりを判断する材料というものが少ないのも原因のひとつかもしれません。今の情報の充実した時代、ウェブサイトやSNS等で情報発信をし、自らの努力や取り組みを閲覧している方にみせるのもひとつのやり方ではあります。しかし『個人の独白』が事後判断の評価に繋がるかどうかは疑問です。理由は先ほど挙げた通り。
例えば私が「xxの件、とうとうxxが決定いたしました!やったー!がんばりました!」と情報発信したとしましょう。それを読んだ方が『小倉、がんばったんだな』とか『やるじゃん』とか思う心優しい方もひとりふたりいらっしゃるかもしれません。でもひょっとしたら私はその件で何一つ発言せず、よくわからないまま他に流されるまま賛成したという背景があるのかもしれませんよ。本人がそこを言わなければ真実は闇の中です。
記述した選挙公報の内容を確認することでその議員の評価に繋がるかどうか、すっごい微妙。グレーの海のような情報の中から真実を見い出す、みなさん探偵になるくらいじゃないと難しいかもしれません。ひとつの指標とするのはいいのかもしれませんけど、その真意を見定める材料が不透明。
と、真面目に考えてみたものの、やっぱり自分の目でみて考えて判断することが大事だと思うので、是非区議会の傍聴(本会議はネット中継もありますし録画も後日みれます)や、委員会の傍聴にも興味を持ってみてください。委員会は中継ないけど、過去の議事録は港区議会のホームページからご覧になれます。……本会議は発言者が限られるし質問だけだから個人的には委員会がエキサイティングであろうかと思っております。
と、最後の〆は港区議会のPRでございました。第2回定例会は6/17-6/26まででございます。みなさま、よろしくどうぞ。