地域包括ケアについて真面目に考えてみた。

地域包括ケアとは国が定めるところのいわゆる、『2025年(H37年)を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制』であって、そのシステムをH30年の4月から全国区市町村で始めなさいよという厚労省からのお達しがあって、どこもかしこも右を向いても左を向いても地域包括ケア地域包括ケアなわけであります。港区も例外ではなく、H30年4月の正式な運用に向けてH29年4月からモデル事業を開始しましょうと行政は一所懸命なわけであります。

 

2025年(H37年)を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制

 

これ、あまりにも漠然とし過ぎててみんなが頭を抱えているのが現状です。しかも厚労省は『地域の特色』を最大限考慮しなさいとも言う。

 

『医療と介護を結びつければいい』
『地域包括支援センターが頑張ればいい』
『システム化しちゃって医療コストが安くなればいい』

 

色んな人が色んな事考えます。私も他人事ではなく、議会で取り上げてみたり質問もしてみたりはしてきましたが、ある時ふと疑問に思いました。色んな方々と意見交換をしたり教えていただいたりしても、本質が全然わかってないかもしれないという漠然とした不安にも駆られたわけです。自分がですよ。

 

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こないだの3月、港区はこういう『港区まち・ひと・しごと創生総合戦略』という政策を策定しました。区のウェブサイトにもPDFが掲載されてます。その中の港区人口ビジョンというものがありまして、港区はこの20年で9万人くらい人口が増えている上、これからも増えていく試算が出されています。

 

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1990年に港区では老年人口が幼少人口を上回りました。高齢者が多くなってきてますよということですよね。医療とか介護とか様々は社会保障で、若者が高齢者を支えるとかどうとかという問題は昔から言われてきましたよね。それが今後2035年くらいからしばらくの間ぽーんと数が多くなってくるんですよ。ぽーんというよりはドカーンと。

 

これ、巷で『2035年問題』と言われておりまして、つまり何かというと『団塊世代と言われる層が死亡平均年齢に達しはじめ、死亡数が過去最多くらいに跳ね上がりはじめ、世帯主が75歳以上での単身世帯が4割近くとかになっちゃう時期』なんですよ。

 

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↑の図では最多の年が2033年ってでてますが、全国的に言われてるのが2035年。あ、あと港区では人口30万人時代が云々とも言われてますけれど、これは外国人居住者抜いてある日本人だけの図です。外国人含める総人口だと30万人を超えるのが2030年あたり。ちなみに今25万人弱ね。

 

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↑の図からも高齢者が増えてくよーって当たり前の未来がホラすぐそこに。

 

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しかもですよ、2013年に国立社会保障・人口問題研究所という機関が『単身世帯ってどんどん増えて2035年には37.2%とか予測できちゃうよ』という恐ろしい報告を出してましてね。つまり、高齢者が増えるだけではなく、その中の一人暮らし割合も増えていくんですよ』という予測。高齢者が増えると医療も介護もニーズが増えていくわけで、そういうところも含めてできれば各自治体・各市区町村でうまく対応していってくださいねというわけ。

 

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そんな状況で港区も四苦八苦、医師の先生方も業界も行政も四苦八苦。行政は業界や地域の方々に求めるものが大きく、また業界や地域の方々は通常のルーティンのほかに抱えなければならない問題が大きく、それぞれの地域の状況を考慮しなければならないので、模範解答も正解もない世界。在宅医療関連の学会は医師だけじゃなく、看護師、介護士、薬剤師、企業などなど、関係者の現場の声ってどうなんだろうとお勉強するにはいい機会。今までは特定疾患の学会しか参加したことなかったので、ちょっと新しい領域に足を踏み入れる楽しみがあったわけで。

 

そしたらですよおくさん、『楽しかった』どころじゃなくて『なんてこった』ですよ。想像していた以上に状況は厳しい上に複雑で、地域包括ケアの根幹が考えていたことと全然違ったわけですよ。勉強が足りなかったわけですよ。

 

医療従事者の考える地域包括ケアシステムとは、『これからの高齢者人口増加と医療資源の限界を考慮し、どれだけ病院外で看取りを実施できるかの体制を整えることである』と受け止めました(注:受け止め方に個人差があります)。要はね、病院を含めて資源・施設が足りない中での年間死亡者数のピークをどうやって迎えるかを考えなければならないということなんですよ(注:受け止め方に個人差があります)。改めて考えさせられるわけです。

 

港区を含む都市部が抱える問題は独居高齢者が多いこと。一人暮らしのお年寄りが多いこと。将来はタワーマンションに住む一人暮らしのお年寄りが多くなるんでしょうかね。こういう状態の中で今後はやれ認知症だ、やれガンだという様々な要因が絡まってくる。……もっと状況把握して勉強することにします。