工作の時間だよー。

さぁさぁ取り出したるは、色付きクリアファイルと定規と油性ペンとカッター。工作の時間だよー(注:ワクチン予診担当医師向けのそこそこ便利な安全で時短に繋がったらいいよねアイテム。打たれる人向けではありません)。

 

スムーズな流れにご協力を

たくさんの方々のご協力のもと、港区では17日から65歳以上区民のワクチン接種が始まりました。多少ちょこちょこと色んなことはあるものの、ものすごいトラブルはないようで安心しています。

 

何度か入口のとこだけこっそり見に行ってみたりとかしちゃったし。周りでもうワクチン接種した人々がちらほらいるので「どんなんだった?」とか、「なんかここはこうした方がいいよとかあった?」というのを聞いたりしています。

 

そこで皆さん、共通して口を揃えて教えてくれるのが3点ありましてね(しかも興奮気味)、「インフルエンザの予防接種の方が痛いわよ」という他に

 

半袖着ていって、予診票も全部書いてもっていったら褒められた!

 

だそうです。準備万端ですねと。ということはつまり、そうじゃない方々がものすごく多いということですよね。そしてもうひとつは

 

予約時間の30分以上前に来ている人が多かった!1時間前とか!

 

だそうです。受付に辿り着く前に待機している人がとっても多いようで、「◯時◯◯分の予約の方〜」と呼ばれる前にしばらく待つ必要もあり、混雑している感じがある時間帯も結構あるようで。

 

これから行く方はですね、到着目安は5〜10分前(早くても)、半袖またはノースリーブに上着引っ掛ける、予診票は家で全部記入していく(体温は会場入口にピッというのがあるのでそれでも可)、接種券のシールは剥がさない(←意外に多い)。オーケー?周りにお伝えくださいね。

 

 

流れ作業には時短の工夫が必要

被接種者(ワクチン打たれる人)に向けての時短協力は呼びかけることしかできません。ではそれ以外にできそうな時短方法があるのかなって考えたら、あるんですよね実は。それが何かというと、医師が行う予診・問診の時短。これが超絶に安全に時短できたら、一日で接種できる人数増えますよ。

 

ひょんな時に、ひょんな場所でこんな雑談をしてたんですよね。

 

「多くの人が素早く接種していくの、予診の時短できればいいのになー」

「ですよねー」

「予診票、すごい見やすく確認できたら便利なのになー」

「ですよねー」

「チェックする項目だけ浮き上がるとか、そういう類の」

「できますよ、作りましょうか」

「えっ」

「えっ」

 

元製薬企業、新薬開発従事経験アリゆえ、医療関係者に頼まれたらなんでも受けるサラリーマンの性。この業界出身の人ならわかってくれるはず。コストをかけずに創意工夫、あるあるです。

 

 

プロトタイプ1号

その帰り道、色付きのプラスチック下敷きを購入(失敗見据えて複数枚)。アクリルも切れるようなプラ用のカッターも。なお、小学校の時の図工の成績は3です。

 

あ、元になる予診票がねえやと気付き、両親に送られて来た予診票原本をコピー。あれだな、区民向けに送られてきてる複写式の予診票、あれ微妙にA4サイズじゃないのな。ほんのちょびっとだけ縦が長い。

 

定規と油性ペンで「はい」「いいえ」の枠をピーっと線引いて、プラ用カッターでシュッシュ。……地味にキツい。

 

あっやべえ、ダメじゃんこれ。確認すべき項目全部が浮きあがっちゃった。

 

ここにチェック入ってたらなんの問題もありませんよ矢印のシールを貼ってみた。……だめだなコレ、失敗だな。見にくいわ。でも一応こんな感じで白い紙が目立ちますよと画像送ってみる。

 

「できれば要チェックの方だけ浮き上がったら最高」

「らじゃ」

 

 

プロトタイプ2号

おお、目立って格段に良い感じに(緑の方)。医師だけが使うやつという前提なので、医師が書き込む必要があるところも切り取っておくか(接種可否のチェック、医師署名欄)。下敷き当ててばーっと確認して、そのままシュッとシャッとできれば素敵やん。

 

そんなこんな作業してるとこに、小倉くん(SE)が帰宅。

 

小倉くん「何やってんの」

小倉さん「これこれこういうことで、工作」

小倉くん「天才かよ」

小倉さん「ふふん」

小倉くん「下敷きもいいけど、クリアファイルでもいいんじゃね?」

小倉さん「天才かよ」

小倉くん「ふふん」

 

そしてプロトタイプ3号(色付きクリアファイルが家にあってよかった)完成。

 

 

試作品の納品

下敷きバージョンとクリアファイルバージョン、現場の使いやすさに合わせてお好きなようにという2タイプ納品。日曜受注→月曜納品。

 

やっぱりこっちが色々便利よねーということで、選ばれたのはクリアファイルの方。そして資材(クリアファイル)渡されて増産受注。

 

月曜受注→火曜納品。水曜に試運転だって。

 

 

 

プロトタイプ4号(カスタマイズ)

とっても効率がよかったということを聞いて嬉しかったものの、「なんか枠がズレてた!」という改善ポイントが見つかりました。自分、ベースにしたのが両親に送られてきた区民向けの予診票だったんだけど、どうやら医療従事者向けの印刷打ち出し用はすこしレイアウトが異なった模様。

 

なおしまっせ!資材ください!とクリアファイルと医療従事者用予診票もらって帰宅。

 

水曜受注→木曜納品。金曜試運転予定。どんなだったか感想聞くの楽しみだなあ。

 

このクリアファイル版のポイントはですね、挟む時に通常の右上から紙を入れるんじゃなくて、右下からシュッと入れるようにしてあることです。そしたら左上の角に合わせてスッと収まってズレない。ここから入れますよーという目印も兼ねて右下に切り込みも入れてみたり。

 

小倉工務店オリジナル。図工の成績が3でもできる汎用型。

 

ただ気をつけろ。すべりやすい素材アクリル定規、しかもファイル開いてちぎれないよう押さえながら片面だけカッター切りだからな。量をさばくとすべらないように押さえる左腕が筋肉痛になるぞ。

 

勘違いしている人がいるようなので注意を

これは、ワクチンを打たれる人が記入するものではありません。打たれる人がすべて記入した後に、最終確認で「打ってよし/ダメ」と医師が判断するために使うグッズです。なので、枠の切り抜きはすべて「医師がしっかりと確認すべき項目はここですよ」というとこです。そうですね、表現はアレですけど、どちらかというと異常の方。まぁ、日本全国の医療機関で時々ありますよこういうの使ってるとこ。

 

ここで勘違いする人も時折いらっしゃいますが、すべて「問題なし」にチェックを入れなければワクチンを打ってもらえないというわけではありません。むしろ、安全にワクチンを打ってもらうためにドクターに注意事項を注意深くみてもらうために、確認漏れがないためにわざと反対側に切り抜いてあるんです。

 

例えば、高齢者なんてみんなどこかしら悪かったり持病があったりするでしょう。何か病気で治療していますかとか薬飲んでいますかとかいう項目があるわけですけど、薬飲んでるからって、病気治療してるからってワクチン打てないわけじゃないんですよ。

 

例えば「薬を飲んでますか→はい」のところの中に「血液をサラサラにする薬を飲んでるか否か」という項目があるんですが、そこで医師が確認するべきポイントは、「バイアスピリンとか服用している人は接種後2分は接種部位を強く抑えてもらう」ということで、そういう指示を出します。そういう指示を出せるようにするため、見落としがないように確認するんですね。半透明な素材を使うのもそういう理由。見えるでしょ。

 

ほら、予診票って字が小さいじゃん。老眼には厳しいですよ。見落としがないようにですよ。んで、チェックボックスの四角の中に小さくマークする方だっているじゃないですか。老眼には厳しいですよ。見落としがないようにですよ。ドクターの。

 

間違えて「薬を飲んでますか→いいえ」だけど「血液をサラサラに→はい」にチェック入れてる人がいたらどーすんだとご心配になるかもですが、そういうことは通常だと書類確認する時に受付の担当の方が確認されるはずです。で、確かめますよどちらですかと。

 

色んな意味でクリアファイル型って超便利。ほら、記入事項なり書類なり受付で全部確認しおわりましたよ、オールオッケーですよという証拠にもなるじゃないですか。その先記入するのはドクターだけ。ワクチン打たれる人の記入スペースはなし。間違えない。

 

アレルギーの有無の確認も大切です。このワクチンの成分で例えばアナフィラキシーを起こしたことがある方は接種はできないと判断されますけども、例えばその他のアレルギーなら接種要注意者として接種後30分の経過観察が必要になる場合があります。なお、通常の経過観察は15分ね。

 

なお、予診担当医師はちゃんと何をどう確認して判断するかというのはみんなご存知です。安心してください。

 

なので、ワクチンを打たれる側はちゃんと正直に予診票に記入をしてくださいね。これは医師のためにもなりますし、なによりもワクチン接種するあなたの健康のためでもあります

 

もちろん、人によっては、体調によっては「今日はワクチン打たない方がいいよ」という判断をされることもあるかもしれません。「昨日肺炎球菌ワクチン打ちました!」とかいるかもしれない。コロナワクチンは「他のワクチン接種から少なくとも2週間空けてね」というものでありますし、接種券送られてきた時にこういうお知らせも同封されているはず。打てませんと言われても大暴れしないように。あなたの健康を心配してのことですからね。

 

そもそも予診票なんて不要なんだよ!という考えをお持ちの方もいます。まぁどちらかというと海外にいたことある方が多いかもしれません。「何があっても不問、打ちに来たのはリスクも理解した自分の意思」というのが前提という文化がある国だってありますしね。日本はまだまだ。いいのか残念なのかはわからないけど。

 

そして、「毎日予診票眺めてたらチェックするところなんか嫌でも慣れる」というドクターもいらっしゃるかもしれませんが、予診票に不慣れなドクターだっていらっしゃるかもしれないじゃないですか。各クリニックの個別接種で一人のドクターが全部やるならいいかもだけど、集団接種みたいだと毎日色んな医師が入れ替わり立ち替わりでご協力いただくわけですもの。万全の準備があったっていいですもんね。

 

そんな感じで、時短に繋がって、そのうち始まる64歳以下の接種順番とかになる時に今より多い人数が一日に打つことが可能となりますように。と願う。というか、広がれこういう時短アイテム(ただし安全なやつ)。

 

肩に猫乗っけてカッター使う時は、お手元にご注意ください。